面接で上手く話せない人って緊張してるだけ? 場面緘黙症って知ってますか?

スポンサーリンク

新入社員の面接や、部下とのコミュニケーションの中で、

「この人は大人しいな」とか「コミュニケーションが苦手なのかな?」

と思う事ってよくありますよね?

私は管理職として、そんな時

「性格だから仕方がないよね」で済ませて、

その人に向いている仕事を「どう割り振るか?」を考えていましたが、

「大人しい性格」だと思っている行動は、もしかしたら病気かもしれません。

病気なら、対応の仕方で悪化させてしまうかもしれませんし、

正しく向き合う事で、改善させてあげる事ができるかもしれません。

日本人の200人に1人の割合で存在すると言われる「場面緘黙症」って知っていますか?

この場面緘黙症とはいったいどんな病気なんでしょうか?

どう対応してあげれば良いのでしょうか?

場面緘黙症って、どんな病気?

「場面緘黙症」って難しい漢字ですよね?

私も初めて見た時、読めませんでした(笑)

これは「ばめんかんもくしょう」と読みます。

場面(ばめん)とは、「場所」「人」「活動」という要素の事で、

緘黙(かんもく)とは、「口を閉じて、しゃべらない」「押し黙る」事を言います。

特定の場所・人・活動の中で、話せなくなる病気が「場面緘黙症」です。

場面緘黙症は、

・場所(初めて行く場所・慣れていない場所・嫌な場所)
・人(初めて会う人・慣れていない人・嫌いな人)
・活動(話す事を期待されている状況:発表・面接など)

という場面で、

声を出せなくなったり、話ができなくなったりします。

家族や慣れた人となら普通に話せますが、

初めて・慣れていない・嫌いな、場所・人・活動で急に話せなくなってしまうというものです。

これは、「大人しい」「人見知り」「自己主張ができない」「引っ込み思案」などと捉えられる場合が多いのですが、

話せなくなる頻度が多かったり、症状が強い場合は、社会生活に大きな影響が出ます。

場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)という言葉自体が聞き慣れないので、珍しい症状だと思われるでしょうが、

日本人で、200人に1人は何らかの症状を持つと言われていますし、海外では140人に1人に場面緘黙症があると言われています。

「あの人はもしかして…」「もしかしたら自分も?」と、誰もが心当たりを感じる病気なんです。

場面緘黙症って、精神疾患?発達障害?

米国精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-Ⅴ)では、「選択性緘黙」という不安症のひとつで、精神疾患として扱われています。

発達障害としては、発達性協調運動障害、軽度精神発達遅滞、アスペルガー症候群などの二次障害として出る事が多いようです。

場面緘黙症は、2歳~5歳の間に発症する事が多いため、発達障害と精神障害のどちらなのか?は、診断したドクターでも変わりますし、国の法律や行政の判断によっても扱いが変わります。

医学的区分では発達障害には含まれませんが、学校教育では発達障害者支援法の支援対象に含まれています。

また、障害者差別解消法では、学校や職場に対して「合理的配慮の提供」の義務が明示されており、発達障害も精神疾患も含めた”障害者”という広い括りで支援されています。

スポンサーリンク



場面緘黙症の症状は?

場面緘黙症は、家族や慣れた人となら普通に話せますが、

初めて・慣れていない・嫌いな、場所・人・活動で、急に話せなくなるという症状が出ます。

米国精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-Ⅴ)による診断基準では、

DSM-Ⅴによる診断基準

1)家などでは話すことができるにもかかわらず、ある特定の状況(例えば学校のように、話すことが求められる状況)では、一貫して話すことができない。

2)この疾患によって、子どもは、学業上、職業上の成績または社会的な交流の機会を持つことを、著しく阻害されている 。

3)このような状態が、少なくとも一ヶ月以上続いている。(これは、学校での最初の一ヶ月間に限定されない)

4)話すことができないのは、その子がその社会的状況において必要とされている話し言葉を知らない、または、うまく話せないという理由からではない。

5)コミュニケーション障害(例えば、吃音症)ではうまく説明できない,また,自閉症スペクトラム障害、統合失調症またはその他の精神病性障害の経過中以外に起こるものである。

と定義されており、

これらの症状は、社会生活として

・社会参加ができない
・人間関係を構築できない
・行事などに参加できない

という問題が出てしまいます。

また、場面緘黙症と並行して出る事が多い症状として、

場面緘黙症と並行して出る事が多い症状

・小声で少しだけ話す。
大事な事だけ「うん・いいえ」など、部分的に小声でしか話せない。

・無表情
アイコンタクトや表情で答えを返す事が難しい。

・身体が強張る
身体が緊張して力が入りすぎ、動けなくなる。
頷いたり首を振ったりして答える事も難しい。

・身体に力が入らない
身体に力が入らなくなり、立っている事やジェスチャーで答えを返す事が難しい。

・全く発話ができない
発声そのものが全くできないので、筆談などでコミュニケーションを取る。

など、「話せない」という症状以外の症状も出る事があり、他人とのコミュニケーションを更に難しくしてしまいます。

更に、これらの症状は全部出るわけではなく、
限られた状況でわずかに症状が出る程度から、家庭から出ると生活すらできないようなレベルまで、
強弱いろいろな症状として出ます。

身の回りに居る人で、コミュニケーションの問題が、性格だと思われている人も、実は軽い場面緘黙症なのかもしれませんし、思い当たる部分がある方も多いかと思います。

私も、普通に話をするのであれば、うるさいと言われるほど「おしゃべり」の部類に入りますが(笑)

たくさんの人の前に出ると「ヘビに睨まれたカエル」状態で、冷や汗が出て全く話せなくなります。

そのため、理学療法士になってすぐの頃は、複数の患者さん相手に体操を指導する集団体操は、上司に土下座して外してもらいましたし、

2か月以上前から練習した学会発表では、原稿を棒読みするだけで、質問にすら答えられず、大失敗に終わるという苦い経験をしています(泣)

場面緘黙症は2歳~5歳で発症する事が多いと申しましたが、発症して病院へ行き、病気として診断が出るのは症状が強くて、生活の中で何らかの障害が出たケースです。

子供の頃に軽い症状しか出ていない場合は、「大人しい性格」で片づけられてしまっているかもしれませんし、ある程度強い症状が出ていても「変わった子」で見逃されている可能性もあります。

症状を見逃されて、病気として治療をしていなければ、大人になっても病気の影響が残る事は十分考えられますし、

普段の生活では何の支障も無くて、特定の場面でだけ突然症状が出る場合は、
「緊張したから」「苦手」という言葉で片づけてしまっているかもしれません。

身の回りの「シャイな人」「緊張しい」「大人しい人」と思われている人の中に、この場面緘黙症が潜んでいる可能性は十分にありますので、

「病気として扱ってあげる事で、改善に結び付く可能性がある」

という事も頭に置いておく事が大事です。

場面緘黙症の原因は?

原因や発症の経緯は、医学的にまだ判明していませんが、

・入園・入学、引っ越し、転校などの環境の変化
・いじめ
・先生との確執

・発達の障害
・不安になりやすい性格

のような因子が関係していると考えられています。

「親の育て方や虐待・トラウマなどが関係しているのではないか?」

という説もあったようですが、現在では関連しないケースの方が多いとされています。

場面緘黙症の治療は?

場面緘黙症の治療は、精神疾患としての治療が中心となります。

心理療法

心理療法としては、行動そのものの改善を図る行動療法と、思考などの認知を変えて行動改善を図る認知行動療法などを行います。

治療の目的としては、コミュニケーションに対する不安や否定的な考えなどの改善です。

子供など早期の治療では行動療法、大人は認知行動療法が多くなりますが、選択する方法は症状などに応じて異なります。

音楽療法

音楽療法とは、楽器や歌を用いて自己表現できる空間を提供し、発話につなげていくもので、音楽療法士と楽器を演奏したり、歌や鼻歌を歌ったりして発話を促していきます。

この時、演奏や歌を強制せず、本人の気の向くままに音楽を楽しみながら治療を行うことが大切になります。

発話を獲得する以外にも、身体表現も治療の中で取り入れ、音楽を通して身体の緊張を軽減させます。

薬物療法

薬物療法では、抗うつ剤や抗不安薬を処方されることがあります。

これらは、うつ病患者に使われるクスリで、メンタル面が原因となってる場面緘黙症でも処方されます。

場面緘黙症は、親や兄弟などの家族には安心感があり、学校や会社の人には不安や恐怖を感じて症状が出ている場合が多く、
抗うつ剤を服用する事で、不安や恐怖の感情を和らげる効果を期待しています。

ただし、抗うつ剤は飲み始めに吐き気、口の渇きといった副作用があるため、徐々に薬の量を増やしていかなければならず、効果が出始めるまでに約1ヶ月以上かかります。

抗不安剤(安定剤)なら飲んでから20分前後で効果が出始めますが、即効性がある分、強い依存性があり、更に飲み続けていると徐々に効果がなくなってくるので、飲む量をどんどん増やさないといけないというデメリットがあります。

周囲との協力による支援

職場や学校での支援、家庭での支援として、病気そのものへの理解や、症状が出るシチュエーションを理解して対応し、本人の不安や恐怖などのメンタル面をやわらげる事で症状の改善に結び付けます。

自然と治るのを待つ

子供の頃は家族以外と話せなかったが、成長と共に他人に慣れ、自然と話せるようになったというケースもあります。

自分で行動を変える

病院での心理療法や薬物療法に頼らず、不安や恐怖を感じる事を自分からやってみる事で、少しずつ慣れていって、症状から抜け出すという改善策もあります。

場面緘黙症への対応は?

場面緘黙症への対応として大事なのは、「大人しい」とか「人見知り」で、本人の意思として話さない」のではなく、病気として「話せなくなる」というところを理解するのが大事です。

病気に対する理解が無いと、
しつこく返事を促したり、変な人だと決めつけたり、無視したりする行動に結び付くかもしれませんが、
そんな対応が、心理的に追い詰める事になり、症状を悪化させ、尚更コミュニケーションを難しくします。

また、「話せない」という症状は病気ですから、
家族や周りの人間、本人さえも、「なぜ話せなくなるのか?」がわからないというのも、対応の難しさに結び付いています。

上記でも述べましたが、場面緘黙症は0か100かというハッキリしたものではなく、

・特定の場所で話せない(人が大勢いる場所、取引先など)
・特定の人と話せない(上司や先輩、苦手な人など)
・特別な活動で話せない(会議などで発言が少ない、接客が苦手など)

という場面で、

全く話せなくなる重い症状から、「ちょっと苦手そうだな」という軽い症状までありますが、

ごく軽い症状でも、苦手な事を無理強いしたり、出来ないからといって叱咤や無視をして心理的に追い詰めるような事があると、症状が重くなっていく可能性は十分あります。

面接の時や部下や同僚で、場面緘黙のような特性を持つ人と対した時は、

言葉が出るまで待つ事を基本として、本人の意思を確認する事(言葉が出るまで待って欲しいのか?今は無理なのか?など)が大事です。

面接や仕事の都合上、どうしてもすぐに答えを必要とする場合は、

Yes・No質問(うなずき等)や、ジェスチャー(指差しなど)で答えられる質問に切り替えたり、

言葉が出なくても文章でなら伝えられる事も多いので、口頭ではなく、直筆でもパソコンでも良いので、書面として提出する形にすると良いです。

面接で上手く話せない人って緊張してるだけ? 場面緘黙症って知ってますか? まとめ

まとめ

1 場面緘黙症って、どんな病気?
特定の場所・人・活動の中で、話せなくなる病気。
「あの人はもしかして…」「もしかしたら自分も?」と、誰もが心当たりを感じる病気。

2 場面緘黙症って、精神疾患?発達障害?
米国精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-Ⅴ)では、「選択性緘黙」という不安症のひとつとして、精神疾患として扱われている。
発達障害としては、発達性協調運動障害、軽度精神発達遅滞、アスペルガー症候群などの二次障害として出る事が多い。

3 場面緘黙症の症状は?
場面緘黙症は、家族や慣れた人となら普通に話せるが、初めて・慣れていない・嫌いな、場所・人・活動で、急に話せなくなるという症状が出る。
社会生活として・社会参加ができない。・人間関係を構築できない。・行事などに参加できない。という問題が出る。

4 場面緘黙症の原因は?
原因や発症の経緯は、医学的にまだ判明していないが、・入園入学、引っ越し、転校などの環境の変化・いじめ・先生との確執・発達の障害・不安になりやすい性格のような因子が関係していると考えられている。

5 場面緘黙症の治療は?

心理療法
行動そのものの改善を図る行動療法と、思考などの認知を変えて行動改善を図る認知行動療法などを行う。

音楽療法
楽器や歌を用いて自己表現できる空間を提供し、発話につなげていくもので、音楽療法士と楽器を演奏したり、歌や鼻歌を歌ったりして発話を促していく。

薬物療法
抗うつ剤や抗不安薬を処方されることがある。

周囲との協力による支援
病気そのものへの理解や、症状が出るシチュエーションを理解して対応する。

自然と治るのを待つ
成長と共に他人に慣れ、自然と話せるようになったというケースもある。

自分で行動を変える
不安や恐怖を感じる事を自分からやってみる事で、少しずつ慣れていって、症状から抜け出す。

6 場面緘黙症への対応は?
「話さない」のではなく、病気として「話せなくなる」というところを理解する。
面接の時や部下や同僚に、場面緘黙のような特性を持つ人と対した時は、言葉が出るまで待つ事を基本として、本人の意思を確認する事(言葉が出るまで待って欲しいのか?今は無理なのか?など)が大事。

入社の面接でも、いろいろな方が来て下さいますし、一緒に働いているスタッフにもいろいろな方がいらっしゃいます。

我々がお付き合いしている精神疾患の患者さんにも、
性格だと軽く考えていた事が、実は病気だったというケースはたくさんあります。

性格なら、なかなか変えられませんから、適材適所で性格に合った対応をすれば良いですが、

病気なら、私達の悪い対応で病気を悪化させてしまうかもしれませんし、正しい対応で病気を改善してあげる事もできます。

我々はリハビリのプロですから、精神医学や心理学なども患者さんのために勉強し、患者さんのために使いますが、

管理職になれば”人を動かす”のも仕事になりますので、”人を動かす”ために心理学を駆使する事も必要になります。

もし、この記事を読んで下さっている中で、管理職として”人を動かす”ことに悩んでいる方がいらっしゃれば、心理学などの勉強もされる事をオススメします。

私も記事として、そんな情報をどんどん挙げていきますので、また来てみて下さい♪

スポンサーリンク

フォローする