薬の飲み過ぎを予防したいですか?実際にあった高齢者の薬物依存と、最も確実な予防策をご紹介!

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薬物依存というと、麻薬やシンナーなどを思い浮かべると思いますが、

高齢者の場合、病院でもらった内服薬を飲まないと病気が悪くなるという

不安や恐怖心から依存症に陥るケースが少なくありません。

今回は、実際にあった高齢者の薬物依存のケースと、

高齢者の服薬トラブルを防ぐ、最も確実な方法をご紹介したいと思います。

一般的な薬物依存と高齢者の薬物依存の違い

薬物依存症とは、薬物をやめられない、使わないと不快になるという状態です。

一般的には麻薬やシンナーなど違法な薬物で、日常生活を送れなくなったり、犯罪を犯したりするような状態を思い浮かべると思いますが、

高齢者の薬物依存は、病院でもらう内服薬に依存してしまい、異常な行動や薬物中毒に結び付きます。

高齢者が内服薬に依存してしまうのには、加齢に伴う薬に対する反応や、身体・心の変化が関係しています。

加齢に伴う薬に対する反応の変化

加齢に伴う薬に対する反応の変化で、

  • 薬の効きが悪くなった…
  • 病気が悪くなっている…
  • 身体が衰えてきている…

などの勘違いがおき、薬に対する依存が高くなってしまいます。

加齢に伴う生理学的変化 薬物代謝に対する影響
薬物吸収  消化管機能低下  鉄やビタミン剤などを除き、薬物吸収への影響は少ない。
薬物分布 細胞内水分減少  水溶性薬物の血中濃度が上昇しやすい。
脂肪量増加  脂溶性薬物は脂肪組織に蓄積しやすい。
血清アルブミン低下 薬物の蛋白結合率が減少し、総血中濃度に比して遊離型の濃度が上昇する。
薬物代謝 肝血流や肝細胞機能の低下  肝代謝率の高い薬物の血中濃度が上昇しやすい。
薬物排泄 肝血流や肝細胞機能の低下  胆汁排泄型の血中濃度上昇。
腎血流量低下  腎排泄型薬物の血中濃度上昇。
薬力学  組織レベルでの反応性変化 特定薬剤に対する感受性低下や亢進。
(血中濃度は同じでも加齢に伴い反応性が変化する薬物がある。)
・β遮断薬、β刺激薬→感受性低下
・ベンゾジアゼピン等の中枢神経抑制薬、抗コリン系薬剤→感受性亢進
薬物相互作用  チトクロームP450(CYP)の反応性変化 同一のCYPにより代謝される薬剤を併用する場合に、薬剤相互作用が起きやすい。

引用:高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2005(日本老年医学会)

加齢による身体・心の変化

また、加齢による身体や心の変化で、

  • 慢性的な病気を抱える
  • 死に対する恐怖心が強くなる
  • 不安な事が増える
  • 孤立してしまう

事になり、これも内服薬に対する依存の要因になります。

高齢者特有の要因
身体的負担 入通院による治療を受けている。
高齢者の多くは自分の健康状態について悪い評価を下しがちで、病気を大きなストレスに感じ「楽になりたい」、「元の体に戻らないなら死んだ方がましだ」といった言動が目立つ
高血圧症、糖尿病、脳梗塞後遺症、心臓病、関節痛などの慢性的疾患をかかえることが多い
家族への精神的負担 家族に「長く生きすぎた」、「迷惑をかけたくない」ともらす。
心身両面の衰えを自覚し、同居する家族に看護や介護の負担をかけることへの遠慮が生じる
喪失感と孤立 強い喪失感から閉じこもりがちとなり、孤独・孤立状態になる。

引用:国立精神・神経センター精神保健研究所提供資料

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実際の高齢者の薬物依存の事例

私が経験した中で、高齢者の方が内服薬に依存して、問題行動へ結び付いた事例をいくつかご紹介します。

便秘薬が切れてパニックになり、救急車を呼んだケース

このケースは、80代の男性で独居の方でした。

この方は、脊柱管狭窄症という病気を抱えておられましたが、食事の準備やトイレへの移動などはご自分で行え、

洗濯・掃除・買い物などは、週に一回ご家族が行ってくれる方でした。

この方は、不安に対する訴えが強く、ご家族や我々の顔を見るたび

「ベッドから動けなくなった・・・」
「体中が痛くてたまらない・・・」
「ひとりでは何もできない・・・」

などと、誰かが居る時は何に対しても不安を訴えられ、自分では動かれませんでしたが、

誰も居ない時には、ご自身で食事も3食作り、トイレへの移動も出来て、簡単な掃除ぐらいならしているような、

ご家族や周囲の人間に対する依存心の強い方でした。

ご高齢であり、複数の体調不良をお持ちで、特に便秘に対して強い不安をお持ちで、便秘薬を常用していらっしゃいました。

ある日、ご自身の内服薬の飲み間違いが原因で、便秘薬が切れている事に気づき、

病院まで取りに行ってもらおうと、ご家族に連絡しましたが、ご家族はお仕事で連絡がつかなかったそうです。

そこで、あちこちに電話をしたが、どこにも連絡がつかず、なおさら不安が強くなり、119番に連絡し救急車を呼んでしまいました。

救急隊から主治医に連絡が入り、主治医からご家族にも連絡がいき、大騒ぎになったそうです。

痛みが治まらず痛み止めを飲み過ぎたケース

このケースは、90代の女性の方でした。

この方は、息子さんと同居されている方でしたが、日中はひとりで過ごされている方でした。

全身の筋力が低下しており、腰痛もあったため歩行が不安定で、日中はほとんどベッドで過ごしておられましたが、

食事やトイレへの移動などは、手すりを使いながらもご自分で出来ていました。

ある日、ベッドから起き上がる際に腰をひねったらしく、腰痛が強くなり、痛み止めを飲んで横になっていたそうですが、

痛みがなかなか治まらず、痛み止めを何度か飲み直したそうです。

ご家族が帰宅すると、眠っておられたそうですが、今までその時間に眠る事が無かったため不審に思い、

声をかけたそうですが反応が無く、救急車を呼び病院に担ぎ込まれました。

2時間ほどで目を覚まし、大事には至らなかったそうですが、ドクターから薬の過剰摂取だと言われたそうです。

ご家族が帰宅して、ごみ箱を確認すると、通常は一日1錠だけ飲むはずの痛み止めを12錠飲んでおり、

それが意識消失の原因になったようでした。

夜に眠れないのが怖く睡眠導入剤をため込んでいたケース

このケースは、70代の女性の方でした。

この方は、変形性膝関節症の方でしたが歩行には問題なく、独居ではありましたが自立で生活できている方でした。

変形性膝関節症の手術を受けられた時に入院した事で、昼夜逆転に陥られた事があり、

退院後も日中に眠ってしまい、夜間には目が冴えて眠れなかった日々が続き苦しんだそうですが、

睡眠導入剤を処方され、夜間に眠れるようになり、昼夜逆転も収まっていました。

昼夜逆転は治まっていたので、睡眠導入剤はもう必要ありませんでしたが、夜間に眠れず苦しかった事が忘れられず、

ドクターに眠れないとウソをついて睡眠導入剤をもらい続けていました。

眠れなくなる不安はありつつも、睡眠導入剤を使う事はありませんでしたが、

睡眠導入剤をため込んでいる事をご家族に知られたくないため、ベッドの布団の下に隠していらっしゃいました。

ある日、ご本人が留守の間にご家族が掃除をしていると、膨大な数の睡眠導入剤が出てきて、

事情を知らないご家族は、ご本人が自殺願望を持っていると勘違いし、大騒ぎになりました。

その後、ご本人から事情を聞いて騒ぎは収まりましたが、持っていた睡眠導入剤は全て捨てられ、

ドクターにも知らされ睡眠導入剤の処方は中止になりました。

しかし、ご本人の「眠れなくなるかもしれない…」という不安は残っており、

さらに、睡眠導入剤が手元に無い事が不安を増長し、今も苦しんでいらっしゃいます。

  

高齢者の薬物トラブルを確実に防ぐには?

高齢者の内服薬のトラブルを最も確実に防ぐ方法は、プロに任せる事です。

お住まいの地域の「訪問看護ステーション」に服薬管理を依頼すれば、看護師がご自宅まで訪問し、プロとして医療的な処置をしてくれます。

介護ヘルパーさんが服薬の介助をしてくれるところもありますが、

ヘルパーさんは、服薬の「声掛け・確認・後片付け」までしかできませんし、

これすら法律上ではグレーゾーンなんです。

ですので、ちゃんとした服薬管理を行うには、訪問看護ステーションに依頼して、看護師に管理をお願いするのが確実です。

看護師なら主治医と相談して、その時々の体調に合わせた服薬の変更もしてくれます。

介護保険を受けている方なら、担当のケアマネさんに相談すれば段取りしてくれます。

介護保険を受けていない場合でも、医療保険で来てくれる場合もありますし、料金が高額にはなりますが実費でも来てくれます。

まずは、

介護保険を受けてる方は「担当ケアマネへ」へ、

介護保険を受けていない方は、「かかりつけ医」

相談してみて下さい。

最後に

高齢者になると加齢に伴い、いろいろ悪いところが増え、必然的に内服薬の量が増えていく事は、どうしようも無い事です。

さらに、若い時のように回復しないため、病気に対する不安も強くなり、内服薬に対する依存がどうしても強くなってしまいます。

加齢に伴う身体の衰えや病気は医学的な進歩を待たないと改善できませんが、

依存の要因のひとつである心の問題は、ご家族や周りの人達の対応次第で改善できます。

ご家族や周りの人達が、高齢者の不安や恐怖心に寄り添ってあげる事も、

高齢者の薬物依存を防ぐのに有効な方法だと思います。

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