現在、シニア世代(60歳以上)の求人が激増しています。
厚生労働省もシニアの雇用を促進しており、ハローワークに専門の窓口を設けたり、シニアの雇用に対する助成金制度も作られています。
インターネットの求人サイトでも、シニアに狙いを絞ったサイトがいくつか登場しています。
なぜ、いま人材としてシニア世代が求められているのでしょう?
目次
国もシニア世代の人材に目を向けている?
高齢化と少子化で、高齢者を支える世代が減少している解決策として、
国や行政も、中高年以上のシニア世代の労働力に目を向けています。
これは、「働き方改革」の柱にもなっており、
ハローワークでは、55歳以上ならばだれでも利用可能な
「生涯現役支援窓口」
の設置が今年度から始まり、
シニアの就労を重点的に支援する方針を取っています。
また、ハローワークの窓口には専門職員が配置され、
履歴書の書き方や面接の受け方の指導などの実践的な相談体制を整えています。
更に、
- 高年齢者雇用アドバイザーによる相談・助言
- 企画立案サービス
- 研修サービス
- 企業診断システム
などのサービスを実施しており、
企業側とのやり取りを強化して、シニア世代の求人を探す作業などにも力を入れています。
また、
- 65歳超雇用推進マニュアル
- 先進企業の取り組み事例
- 産業別の取り組み事例
- 啓発誌「エルダー」
などの情報をシニア世代へ提供しています。
なぜ、こんなに国がシニア世代の雇用に力を入れているかというと、
- 支える世代を増やせる
- 社会保障給付費を抑えられる
- 税収を増やせる
という3つのメリットがあるからなのです。
支える世代を増やせる
働く世代が、
2025年には3.3人
2060年には1.9人
で、75歳以上の高齢者ひとりを支えないといけなくなる事が予測されています。
シニア層の就労を増やす事で働く世代の年齢が引き上げられ、高齢者を支える負担が減らせます。
社会保障給付費を抑えられる
現状での介護・医療保険、年金などの社会保障給付費は、国民の負担や社会保険料ではまかないきれず、
税金や国債を投入して、なんとかやりくりしているというのが現状です。
しかし、シニア世代が働く事によって心身共に充実し、病気の予防となれば、
医療・介護保険の負担も減らせるという事です。
税収を増やせる
年金で生活しているはずのシニア世代が、働く事によって所得税を納めるようになれば、
国としての税収が増えることになるわけです。
国としては、収入源として所得税の割合が増えるのは大変助かるでしょう。
なぜ企業はシニア世代の人材を求めるのか?
昨今、企業がシニア世代の人材確保に力を入れていると申しましたが、
企業がシニア世代に期待する部分として、
若年世代には無い、シニア世代の特性や利点に注目しています。
シニア世代の特性や利点には、
- 働く意欲が高く離職率も低い
- コミュニケーション能力が高い
- 豊かな経験や技術・人脈がある
- 朝が早い勤務時間でも良い
などが挙げられます。
働く意欲が高く離職率も低い
シニア世代は、世代的に働く意味として「生活のため」という意識が強い事や、
団塊の世代として、たくさんのライバルの中で戦ってきた経験から、
少しぐらい辛い仕事でも乗り切れる「根性」があります。
これらにより、シニア世代は
「意欲的に働き、勤務態度が良く、辞めにくい」
という、企業にとって理想的な人材なのです。
コミュニケーション能力が高い
シニア世代は長い人生経験や職場の経験で、高いコミュニケーション能力が身に付いています。
接客業としても、職場内の人間関係としても、上手に取り仕切る能力を持っています。
豊かな経験や技術・人脈がある
シニア世代は、人生の中で培ってきたノウハウ、技能・技術、人脈を持っており、
それを、若い世代や企業に役立てる事ができます。
それが、若年世代への教育となり、モラルやモチベーションの向上に繋がります。
また、経験豊富なシニア世代を採用する事で人材育成のコスト削減にもなります。
朝が早い勤務時間でも良い
勤務時間が早朝だと若者は嫌がりますが、シニア世代は全く問題にしません。
問題にしないどころか、年配になると起きる時間が早くなるので、朝早い方が良いという方も多くいらっしゃいます。
早朝の勤務があるコンビニや工場などでは、このシニア世代の特性が喜ばれます。
これらの特性や利点に企業が注目しており、
ローソン等の大企業も、積極的にシニア世代の求人に力を入れています。
さらに、
国は、シニア世代の雇い入れ支援として、
- 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
- 特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)
- トライアル雇用奨励金
をという助成金を企業へ出しており、
条件さえ整えば、シニア世代を雇用する事で助成金として収入を得る事も出来ます。
シニア世代の求人が多い職種は?
シニア世代の求人の割合としては、以下のデータが出ています。
1位の医療・福祉業界では、
政府がシニア世代を介護人材として活用するため、介護に関する入門的研修を実施するような努力もしている事もあり、
厚生労働省の発表では、60歳以上で医療・介護業界へ実際に就職した人数は、
2005年から65万人も増えているそうです。
2位と3位のサービス・飲食業は、
シニア世代の長年積み重ねた社会人としてのスキルや、若いスタッフへの指導能力を期待しているのはもちろんですが、
ビジュアルとしても、シニアの落ち着いた見た目が、お店の信用度や安心感を高める効果がある事が実証されています。
某大手のステーキ店では、未経験でもシニア世代をあえてお客様の見える場所に配置する事で、
お客様の安心感を高める効果を使って、売上を伸ばしているそうです。
4位と5位の建設・製造業では、
技術的なスキルの高さや、技術を若い世代へ伝えられる教育としての力を期待しているようです。
シニア世代の求人が激増?なぜ企業はシニアを求めるのか? まとめ
1 国もシニア世代の人材に目を向けている?
シニア世代の労働力は、「働き方改革」の柱にもなっており、
・支える世代を増やせる
・社会保障給付費を抑えられる
・税収を増やせる
という3つのメリットがあります。
2 なぜ企業はシニア世代の人材を求めるのか?
企業側は、
・働く意欲が高く離職率も低い
・コミュニケーション能力が高い
・豊かな経験や技術・人脈がある
・朝が早い勤務時間でも良い
という若年世代には無い、シニア世代の特性や利点に注目しています。
3 シニア世代の求人が多い職種は?
1位 医療・福祉業界
2位 サービス業
3位 飲食業
4位 建設業
5位 製造業
となっています。
このように、国も企業も
60歳以上のシニア世代の人材へ注目しています。
実際に再就職された方々は、定年までの仕事と同じ職種ではなく未経験の業界に飛び込み
「人生の楽しみを見付ける」
という目的を持って再就職しているようです。
昔の60歳といえば、
「お年寄り」
でしたが、
今の60歳の方々は現役バリバリです!
その有り余ったエネルギーを
「お金を浪費しながら余暇に使うか?」
「お金を稼ぎながら社会貢献に使うか?」
というのは、シニア世代の皆さん次第ですが、
シニア世代の方々が、これからの日本を支える救世主になっていただける事を心から期待しています!