日々、だんだん寒くなってきて
「お風呂も湯舟に浸かって暖まりたい・・・」
と、訴えられる患者さんはとても多いです。
身体が悪く、湯舟に浸かるのが難しい方は
手すりがあると助かりますよね?
「でも・・・工事費が高いんじゃないの?」
いやいや、助成金を使えば激安で付けられます!
では、どんな助成金を使えば良いのでしょうか?
どこに相談すれば良いのでしょうか?
目次
手すりを付けられる助成金ってあるの?
お体が悪い方が生活しやすいように、手すりを設置するなどの工事をするのは
“住宅改修”
といいます。
この住宅改修には、お住まいの地方自治体が助成金を出してくれます。
この助成金を貰う方法としては主に
- 高齢者(65歳以上)への支援を使う方法
- 障害者(64歳以下)への支援を使う方法
- 介護保険を使う方法
の3つがあります。
ただし、助成の内容は、
地方自治体でそれぞれ微妙に違いますので、
細かい内容は、お住まいの地方自治体に問い合わせて頂いた方が良いと思います。
今回は、東京都目黒区を例にとって説明したいと思います。
助成金をもらえる条件はこの3つ!
助成金が貰える条件は、
以下の3つの区分で分かれています。
1、65歳以上の方
① 住宅改修予防給付
・65歳以上で区内在住の方
・日常生活の中で動作に困難がある虚弱な方
・介護保険の認定申請の結果、非該当と判定された方
・介護保険の要介護・要支援の認定を受けていない方
② 住宅設備改修給付
・65歳以上で区内在住の方
・介護保険の要支援・要介護の認定を受けている方
2、64歳以下の方
①小学生以上64歳以下で、歩行ができない方と、肢体不自由が1級の方。
②小学生以上64歳以下で、補装具として車いすの交付を受けている内部障害(内臓に障害がある)の方。
③小学生以上64歳以下で、保健師の調査や医師の意見書で住宅改修が必要と判断された方
3、介護保険の認定を受けている方
①65歳以上で介護認定を受けている方
②40歳以上64歳以下で、特定疾患として介護認定を受けている方
要は、
身体の問題で寝起きや歩行など、自宅内での動きに困っている小学生から高齢者まで、
上記の条件に合う方であれば、3つのうちどれかの制度を使って助成金が受けられるという事です。
ここで注意して頂きたいのは、基本的に介護保険が何よりも優先するという事です。
介護保険の認定を受けている方は、
65歳以上の場合1‐②の住宅設備改修給付と併用できますが、
64歳以下では介護保険住宅改修給付のみとなりますので、ご注意下さい。
貰える金額はどれぐらい?
助成金で貰える金額は制度によって、それぞれ決まっています。
1、65歳以上の方
①住宅改修予防給付
限度額20万円
②住宅設備改修給付
・和式便器から洋式便器への交換工事
限度額16万2千円
・入浴時の負担を軽減するための工事
限度額37万9千円
・流し・洗面台の工事
限度額15万6千円
③介護保険住宅改修給付
限度額20万円
が使えます。
介護保険の認定を受けていない方は、1-③介護保険住宅改修給付が使えないので
貰える限度額としては、
①20万円+②16万2千円+37万9千円
=74万1千円
介護保険の認定を受けている方は住宅改修予防給付が使えないので、
②16万2千円+37万9千円+③20万円
=74万1千円
と、なり
結果的に、介護認定を受けていても受けていなくても、
同じ金額を使えるようになっています。
ですが・・・
ちゃんと調査があるので、必要の無い工事は認められません(泣)
「別に問題無く使えているけど、古くなったからついでに工事してもらおう!」
というのはダメですので、注意して下さいね(笑)
※介護保険の認定を受けていて担当のケアマネージャーが居る方は、担当のケアマネージャーが指示してくれます。
介護保険の認定を受けていない方は、区役所にご相談下さい。
2、64歳以下の方
①小規模住宅改修(手すり設置など小規模な工事)
限度額20万円
②中規模住宅改修(小規模住宅改修では足りなかった分)
限度額64万1千円
③屋内移動設備(天井走行リフト及び階段昇降機の設置)
限度額
・機器本体と付属品で97万9千円
・設置費で35万3千円
が使えます。
残念ながら、この制度は介護保険との併用はできません。
65歳以上と違って、64歳以下の方は
この制度しか使えませんのでご注意下さい。
これも区役所の調査がありますので、
必要の無い工事は認められません。
くれぐれも、ズルはしないようにして下さいね(笑)
3、介護保険の認定を受けている方
介護保険の認定を受けている方は
介護保険住宅改修給付
を中心に使う事になりますが、
上記1-②の住宅設備改修給付が併用できます。
しかし、介護保険の認定を受けている方は
1-①の住宅改修予防給付が使えないので、
住宅設備改修給付16万2千円+37万9千円
+
介護保険住宅改修給付20万円
合わせて74万1千円だけが使えます。
ただし、ここで注意していただきたいのは、
住宅設備改修給付が使えるのは65歳以上の方だけです。
40歳以上64歳以下の方で
特定疾患として介護保険を受けている方は
1-①の住宅改修予防給付
と、
1-②の住宅設備改修給付
は使えず
1-③の介護保険住宅改修給付
だけの給付になる事だけは理解しておいて下さい。
ここまでで最も注意して頂きたいのは、
65歳以上の方も64歳以下の方も、
工事にかかった費用のうち※1割は自己負担となる事です。
仮に、工事費が30万円かかった場合は、3万円は手出しになります。
あちこち工事して、手出しだけでけっこう高額な金額になって、
後から困るような事例もありましたので、
ケアマネージャーや相談員、区役所の担当者と
よく相談しながら考えましょう。
介護保険の認定を受けていらっしゃる場合は
※2割・3割負担の方もいらっしゃいますので、
ご自身の負担額を担当のケアマネージャーに
尋ねていただいた方が良いと思います。
どこで相談すればいいの?
助成金は、各都道府県がお金を出してくれて、
都道府県が出してくれるお金を動かしているのは
市区町村になります。
助成金の問い合わせや申請は、
お住まいの市区町村の役所・役場になります。
例にしている東京都目黒区の場合は、
目黒区区役所に行って、問い合わせや申請をします。
お問い合わせ先は、
65歳以上の高齢者の方は、
高齢福祉課
64歳以下の障害者の方は、
障害福祉課
介護保険の認定を受けている方は、
介護保険課
になります。
助成金でお風呂に手すりを付ける3つの方法と4つの注意点! まとめ
1 手すりを付けられる助成金ってあるの?
お住まいの地方自治体が助成金を出してくれます。
2 助成金をもらえる方法はこの3つ!※以下は東京都目黒区の例
①65歳以上の方
②64歳以下の方
③介護保険の認定を受けている方
身体の問題で寝起きや歩行など、自宅内での動きに困っている小学生から高齢者まで、上記の条件に合う方であれば、3つのうちどれかの制度を使って助成金が受けられる。
3 貰える金額はどれぐらい?
①65歳以上の方
・住宅改修予防給付
限度額20万円
・住宅設備改修給付
和式便器から洋式便器への交換工事
限度額16万2千円
入浴時の負担を軽減するための工事
限度額37万9千円
流し・洗面台の工事
限度額15万6千円
介護保険住宅改修給付
限度額20万円
②64歳以下の方
・小規模住宅改修(手すり設置など小規模な工事)
限度額20万円
・中規模住宅改修(小規模住宅改修では足りなかった分)
限度額64万1千円
・屋内移動設備(天井走行リフト及び階段昇降機の設置)
限度額
・機器本体と付属品で97万9千円
・設置費で35万3千円
③介護保険の認定を受けている方
・住宅設備改修給付
限度額16万2千円+37万9千円
・介護保険住宅改修給付
限度額20万円
4 どこで相談すればいいの?
助成金の問い合わせや申請は、お住まいの市区町村の役所・役場
65歳以上と64歳以下の区別・・・
介護保険と助成金の組み合わせ・・・
介護保険の中の特定疾患という区分・・・
これが絶妙に絡んでややこしいんです(笑)
私達は慣れていますから何とか整理できますが、
一般の方で、それも初めて申請しようとしている方は
本当に大変だと思います。
これを押さえておけば、ややこしい制度も何とか理解しやすいかと思います。
がんばって下さいね!