暑くなってきて、冷房を使う時期がきました。
ご自宅で生活していらっしゃる患者さん達も、日中の暑さが辛くなり、
「そろそろエアコンを使おうかな」
と、言われはじめています。
長い期間使っていなかったエアコンにはカビが発生していて、
エアコンを使う事で、まき散らされたカビがいろいろな病気を引き起こします。
カビが原因でおこる病気には、どんなものがあるのでしょう?
対策はどうすれば良いのでしょうか?
目次
エアコンがカビをまき散らす?
エアコンの構造は、部屋の空気を吸い込んで、吸い込んだ空気をエアコン内の熱交換機で冷やして、その空気を吐き出し部屋の温度を整えます。
この構造上、熱交換機は結露でビチャビチャになり、湿度が高い状態になっています。
この湿度の高い環境が、湿気が大好きなカビの繁殖を促しています。
この増えたカビは、エアコンを使わない時期でもエアコンの中に留まりますので、
再びエアコンを使うとエアコンの風力でカビをまき散らす事になるのです。
カビが原因となる病気
カビが皮膚におこす病気
皮膚にカビが感染して異常が起こるものを「皮膚真菌症」といいます。
皮膚の浅いところ(角質や表皮など)に起こるものを「浅在性皮膚真菌症」
皮膚の深いところ(真皮や皮下組織など)に起こるものを「深在性皮膚真菌症」
と呼びます。
水虫
水虫は、足の指の間が赤くなり、水泡・皮が剥ける・爪が白くなり、激しい痛みが生じる病気です。
原因は、カビの一種である白癬菌が、皮膚の角質層に寄生することによって起こる皮膚の病気です。
白癬菌は手やからだにも感染しますが、靴を履いた時に足がむれ、菌にが繁殖しやすい高温多湿な環境を作るため、9割は足に出ます。
タムシ
タムシは、白癬菌が、身体に感染して起こる皮膚の病気の総称で、症状として強いかゆみが生じ、発疹が現れます。
一般的には、身体にできるものを「ゼニタムシ」、股にできるものを「インキンタムシ」と呼ばれており、
・自分の足の水虫から広がるもの
・他人から感染するもの
・動物から感染するもの
があります。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、体質としてアレルギーを起こしやすい人や、身体の皮膚を守る機能が弱い人にでる病気で、湿疹と強い痒みが主症状です。
アレルギーの原因(アレルゲン)は体質によって変わるため、
・ハウスダスト
・ダニ
・ペット
・カビ
・花粉
など、それぞれ個人々で変わります。
じん麻疹
じん麻疹は2割の人が一度は経験するといわれている病気です。
湿疹や膨疹、痒みやチクチクする痛みが主な症状です。
原因は、
・食べ物
・カビ・菌などの感染
・温度
・紫外線
などで起こります。
カンジダ症
カンジダ症は、濡れた皮膚でカビや菌が繁殖して、口、腟、皮膚の表面に感染が起きるもので、白・赤の斑点が生じて、かゆみや刺激を感じます。
免疫系の機能が低下している人は、食道や内臓に重い感染症が起こることがあります。
マラセチア毛包炎
マラセチア毛包炎は、マラセチア菌というカビの一種が感染して起きる病気です。
出展:AGA治療日記
主に、頭皮・顔面・耳の皮膚の表面に出て、別名「カビのニキビ」と呼ばれています。
軽症の場合は、少数の赤いブツブツが生じる程度ですが、重症化するとぶつぶつが多くなり、白く膿を持つようになります。
クリプトコッカス症
クリプトコッカス症は、クリプトコッカスというカビに感染することによって発症する伝染病で、犬・猫・鳩など動物にも感染する病気です。
症状として、
・肺感染症(症状:咳や胸の痛み)
・皮膚感染症(症状:頭痛、かすみ目、錯乱)
・髄膜炎(症状:発疹・膿)
などに分けられます。
スポロトリコーシス
スポロトリコーシスは、スポロトリコーシス・シェンキーというカビが皮膚に感染することによって起こる病気です。
症状として、赤い発疹が出ますが、悪化すると爛れたり膿を持つ膿胞になります。
主な感染の仕方は、傷からスポロトリコーシスが体内に入って起こる事が多いため、皮膚が傷ついた時は洗浄や消毒をしっかり行う事が重要です。
黒色真菌症
黒色真菌症は、エクソフィアラというカビが原因で起こります。
皮膚の膿瘍や潰瘍を引き起こすだけでなく、肝臓や脳の膿瘍に繋がる事もあり、脳を侵されて死に至るケースもあるといわれています。
カビが呼吸器におこす病気
カビによる呼吸器の疾患の多くは、発熱や咳など、かぜに似た症状で始まり、悪化すると死に至る病気になる事もあります。
毎年、初夏から夏の間だけ症状が現れたり、咳だけが長い期間残ったり、いつもいる家や会社を離れると症状が軽快するといった特徴があります。
喘息
喘息は、カビやほこり、ペットの毛やフケなどで起こるアレルギーです。
症状は、呼吸困難や咳・痰の発作が出る事で、発作が出た時は「ヒューヒュー」という呼吸音になるのが特徴的です。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、カビやほこり、ペットの毛やフケなどで起こるアレルギー疾患です。
透明のさらっとした鼻水、鼻づまり、発作的にくしゃみを連発するという症状が出ます。
肺アスペルギルス症
肺アスペルギルス症は、アスペルギルスというカビの一種が気管支や肺に感染して起こる病気です。
免疫機能が低下している方や、肺に問題がある方がかかりやすく、
初期には副鼻腔炎や肺炎で始まり、悪化すると肝臓・腎臓・脳などの組織を侵すことがあり、最悪の場合は死に至ります。
エアコン内でカビを繁殖させないためには?
カビがさまざまな病気を引き起こす事はご理解いただけたかと思います。
エアコン内でカビを繁殖させないようにするには、次の2つの方法があります。
エアコンのフィルターを洗う
長い期間使っていないエアコンを、再び使う前にフィルターを洗いましょう。
また、エアコンのフィルターが目詰まりしていると、フィルターが空気を通しにくくして、エアコン内部の隙間にカビを繁殖させやすくします。
フィルター以外の隙間も清掃しないで済むように、エアコンを使わない時期にもフィルターを掃除しておくと良いでしょう。
エアコン内部の湿気を取っておく
カビを繁殖させないためには、エアコン内部の湿気を取り除いておく必要があります。
最近のエアコンには、エアコン内部を乾燥させる機能が付いていますが、
乾燥機能が付いていない古いエアコンを使っている場合は、送風運転や暖房運転をする事で、エアコン内部を乾燥させる事ができます。
エアコンの汚れは恐ろしい病気の原因?カビが原因の病気と2つの対策とは? まとめ
1 エアコンがカビをまき散らす?
エアコンの構造は、部屋の空気を吸い込んで、その空気を吐き出し部屋の温度を整えます。
エアコン内は湿気が多いためカビが繁殖しやすくなっています。
再びエアコンを使うと、エアコン内で繁殖したカビをまき散らす事になります。
2 カビが原因となる病気
カビが原因となる病気は、
カビが皮膚におこす病気として、
・水虫
・タムシ
・アトピー性皮膚炎
・じん麻疹
・カンジダ症
・マラセチア毛包炎
・クリプトコッカス症
・スポロトリコーシス
・黒色真菌症
カビが呼吸器におこす病気として、
・喘息
・アレルギー性鼻炎
・肺アスペルギルス症
などが挙げられます。
3 エアコン内でカビを繁殖させないためには?
・エアコンのフィルターを洗う
・エアコン内部の湿気を取っておく
という2つの方法が有効です。
エアコン内部の掃除を怠るとカビだけではなく、ダニなどを繁殖させ、ホコリを溜めてしまいます。
これらは全て、アレルギーなどの病気の元になり、実際に病気になっている方も多くいらっしゃいます。
私が関わっていた高齢者や障害を持つ方は、ご本人が掃除をするのは無理がありましたので、
出来る限り掃除をしてあげていましたが、全ての方々にできた訳ではありませんでした。
こういった細かい部分も、自治体が対応してくれたら、
「少しでも病気が予防できるのにな・・・」
と、いつも思います。
自治体が対応してくれるようになるまでは、これからも
出来るだけでも、お手伝いできるよう頑張っていきます♪