働き方改革関連法案が衆議院本会議で可決しました。
働き方改革は、一億総活躍社会を実現する改革だと謳われていますが、
超高齢社会へ向けての社会保障の具体案も無く、少子化対策も進んでいない中、
労働力人口を確保するためには、これから定年を迎える世代の労働力を有効に使うしか無くなってくる事が予想されます。
この先、定年が廃止される時代が来るのでしょうか?
他の国の定年はどうなっているのでしょうか?
これから定年を迎える世代は、働き手不足の救世主となるのでしょうか?
定年が廃止されたら収入はどうなるのでしょうか?
定年後の生活を送っていらっしゃる方々のご意見を実際に聞いた上で、
完全に私なりの私的な思いを語りたいと思います。
目次
定年が廃止される時代が来る?
厚生労働省が発表している有効求人倍率の上昇は、景気が良くなり求人が増えた訳ではなく、
ただ単に、就業人口が減少している事で相対的に求人倍率が上がっているのは明らかです。
国や企業も就業人口を確保するために、現在の60歳定年から65歳定年に延長するという方向で動いていますが、
それでも超高齢化社会の社会保障を支えるだけの財源は確保できないと思います。
そこで私は、定年を廃止する事が唯一の解決策になると考えており、
高齢者の定義にもなっている65歳以上の定年後の人材が、就業人口の減少を防ぐ救世主になるのではないかと思っています。
他の国の定年はどうなってる?
世界一の高齢化社会である日本が、高齢化をこれからどう解決していくのか?を世界中が注目しているそうです。
世界の定年はさまざまで、アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドなどは原則的に定年はありません。
日本が目指している定年を65歳と定めている国は、ドイツ・フランス・フィリピンなどがありますが、
ドイツとフランスは、段階的に67歳に引き上げようとしています。
現状の日本と同じ60歳の定年を取っている国は、韓国・中国(男性のみ)・タイ・マレーシアなどがあります。
アメリカやイギリスなどは「年齢による差別」として定年を禁止していますが、
他の国々は、日本と同じく高齢化を解決するために定年の年齢を引き上げようとしています。
これから定年を迎える世代は、働き手不足の救世主となるか?
前述で、定年を引き上げている国は、日本と同じく高齢化社会に対応するためだとお話しましたが、
フィリピンが定年を65歳に設定しているのは、
長年仕事に従事してきたスキルを有効に使ってもらう為や次世代への指導の為に定年の年齢を引き上げており、
もし日本が定年を廃止した場合には、フィリピンの考え方こそが定年廃止のポイントになると考えています。
長年培ってきたスキルで、若い世代には出来ない仕事や次世代に対するスキルやノウハウの継承としての教育ができるという最大のメリットを活かせば、
働ける身体や精神が維持できているうちは、社会の第一線で働き手不足の救世主となる事ができると思っています。
定年が廃止されたら収入はどうなる?
定年が廃止になった場合、企業側にも労働者側にもいろいろなメリット・デメリットはありますが、
企業側で最大のデメリットだと考えられる「人件費の増大」がある以上、
収入は現役の頃と同じまま、ずっと働けるというのは現実的ではありません。
もし、定年が廃止されたとしたら、死ぬまでずっと働けたとしても、
「一定の年齢になれば給与は減る」という形にするか、成果報酬として歩合制という形にするしかありません。
ここでも、長年働いてきて培ったスキルや教育を企業側に「高く買わせる」事で、現役時代の収入と同等か、
下手すれば、現役時代の給与を超える収入が確保できるかもしれません。
定年後の生活を送っている方に「定年の廃止」をどう思うか聞いてみた!
私がお付き合いしている、すでに定年後の生活を送っている方々に、
「もし定年が廃止になったらどう思いますか?」
という質問をしてみました。
「定年が廃止になったらどうしますか?」という質問に対して、
「せっかくゆっくり生活できているのに冗談じゃない!」
と即答でした。
50歳を超えたあたりから、定年できる日を指折り数えて待っていらっしゃったそうで、
「定年が廃止になるなんて地獄のようだ!」
とのご意見でした。
「定年が廃止になろうがなるまいが、国は社会保障制度は絶対に無くせない。財政を確保するために税金が上がっていくだけ」
という、超現実的なご意見を頂きました。
この方は、造園業の中小企業で職人として定年を迎えられたばかりの方です。
本来、定年は60歳だったらしいのですが、会社の希望で2年間の定年延長をされ、定年を迎えてからまだ半年の方です。
定年延長時は、現役の頃の給与より半額近くに下がったそうですが、会社に出勤する必要も無く、
現場に直接行って、若手には難しい重要な部分だけ作業して、一日2~3時間の労働で済んでいたそうです。
定年をされた今では、元々勤めていた会社の仕事だけではなく、他の会社の依頼も受けて、フリーランスのような働き方をされています。
「定年が廃止になったらどうしますか?」
という質問に対して、
「俺は技術を持っているから、定年とかあまり関係ないね。本当はもっと若くで会社を辞めて独立しようと思ってたぐらいだから」
「あと2年で年金をもらえるから、ゆっくり年金で生活しながら、自分の技術を若手に教えたり、小遣い稼ぎ程度に仕事しながら生きていくさ」
と、私が考える「定年の廃止」に、ほぼ理想的な例だと思いました。
この方は、20歳で農家に嫁がれて以来、ずっと農家を営んできた方です。
年金は国民基礎年金だけで、生活するのには足りないため、84歳になった今でも仕事を続けているそうです。
仕事を続けているといっても、後を継いでいるお孫さんに指導しながら、力仕事はせず無理しない程度にやっているとの事でした。
農業に定年はありませんが、この方にも「定年が廃止になったとしたらどう思います?」と質問したところ、
「人間は働かなくなったらダメになるよ」
「同じぐらいの歳で会社務めだった人はみんな病気になってるか死んだけど、農家の人達はみんな元気だもんね」
という答えが返ってきて、「定年の廃止」は、介護予防にも繋がるかもしれない事がわかったケースでした。
最後に
今回は、私の私的な語りにお付き合い頂いてありがとうございました。
高齢者に関わる仕事でメシを食わせてもらっているものとして、日本の未来を考えた事というより、
まだまだ遠いながらも、定年がうっすらと見えてきた、自分自身の未来として、
これから「どう生きていけば良いのか?」という目線で語ってみました。
今回、定年後の方々にお話しをお聞きした中で一番心に刺さったのは、
「先の事を考えても人生どうなるかわからんぞ。定年になるまでに死ぬかもしれないし」
「毎日、手を抜かずに一生懸命生きて、キョロキョロせずに一歩一歩足元だけを固めていけば、たいていの事は何とかなるものだよ」
というお言葉で、少し気持ちが楽になりました♪