加齢や病気で、動けなくなってきて介護が必要になると、
「介護保険を受けたいのですが」
と、ご相談を受けるのはもちろんですが、
自分で動けて、まだ介護は必要じゃなけど、
「これからどうなるか心配で…」
というご相談もよく受けます。
介護保険が受けられる条件ってあるのでしょうか?
どのタイミングで、介護保険の申請をするべきなんでしょうか?
現場での経験からアドバイス致します!
目次
介護保険を受けられる条件は?
介護保険を受けられるようになるのは、基本的には65歳からですが、
特定疾病に認められている病気だと、40歳から介護保険を受けられます。
特定疾病とは、40歳から64歳の方(第2号被保険者)が、以下の16の病気が原因で介護が必要となった場合に、要介護認定を受けられる病気です。
- がん【がん末期】
(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。) - 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
【パーキンソン病関連疾患】 - 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
また、介護保険を受けるには、お住まいの市区町村に介護保険の申請をして、認定を受ける必要があるのですが、
介護認定が受けられるようになるには、自立から要介護5まで、日常生活の中でどの程度介護が必要になるかの基準があります。
自立
日常生活に介護が必要なく、自分で日常生活の動作を行う事ができる方です。
介護が必要無いので、介護保険は受けられません。
要支援
要支援は、要支援1と要支援2に分けられます。
・要支援1
日常生活は、ほぼ自分で出来るが、介護状態を予防するために軽い支援が必要な状態。
・要支援2
日常生活に支援を必要としているが、改善する可能性が高く、要介護には至らない状態。
要介護
要介護は、要介護1から要介護5までの5段階に分けられます。
・要介護1
立ち上がりや歩行が不安定で、日常生活の中の排せつ・入浴などに部分的な介助を必要とする状態。
・要介護2
自力での立ち上がりや歩行が困難で、、日常生活の中の排せつ・入浴などに一部または全介助が必要な状態。
・要介護3
自力での立ち上がりや歩行ができず、日常生活の中の排せつ・入浴・更衣などに全介助が必要な状態。
・要介護4
日常生活の中の排せつ・入浴・更衣などに全介助が必要で、他の日常生活能力の低下もみられる。
・要介護5
意思の疎通も困難で、日常生活の全てにおいて全面的な介助が必要になっている状態。
40歳から64歳までの方は特定疾病にある病気の方と、65歳以上の方で、
要支援と要介護の状態にあたる方は、介護保険の申請をして認定がおりれば、介護保険のサービスを受けられます。
どのタイミングで申請すればいい?
私の経験上、介護保険を申請しようとする方は、動けなくなってきて介護が必要になる「要介護」の状態になっている方が多いのですが、
まだ自分で動けるけど、少し手がかかりだした「要支援」の状態で、申請するかどうかを迷っている方は非常に多くいらっしゃいます。
要支援は「介護サービス」ではなく、「介護予防サービス」というものしか受けられず、
支給限度額も要介護と比較するとかなり少ないので、介護保険内(1割~2割負担)で受けられるサービスも限られ、
「たいしたサービスは受けられないから」と、介護保険の申請を躊躇されます。
1ヵ月の区分支給限度額と自己負担額
介護保険の支給限度額内なら、お客様の負担額は費用の1割でご利用可能です。 保険給付(支給)の額は、認定区分によって異なります。
※2015年8月より、65歳以上の被保険者のうち一定以上の所得がある方については、2割のご負担となりました。
- ※ 区分支給限度額を超えるご利用サービス分の費用は、お客様負担が10割(全額)となります。
- ※ 保険者(市区町村)により区分支給限度額が異なる場合があります。
- ※ 区分支給限度額の対象外となる加算があります。
更に、ご家族は介護保険の申請を望んでいらっしゃるけど、
「介護保険なんかに頼るほど落ちぶれていない!」
「年寄り扱いするな!」
なんて、ご本人が拒否される事も多いです。
そんな時、私が「介護保険を申請するべきかどうか?」という相談を受けたら、
高齢社会で介護保険の負担が増大している現状で、地方自治体の介護保険担当者の方々に怒られるかもしれませんが(笑)
ご本人やご家族の状態から判断して、「自立」以外の状態なら、とりあえず申請する事を勧めます。
それは、
・担当ケアマネージャーがつく
・状況に応じてサービスを変えられるスピードが速い
という理由が挙げられます。
介護保険を使っても使わなくても良い
介護保険を申請して認定がおりたとしても、サービスを使おうが使うまいが、ご本人やご家族の自由です。
もし、すぐに介護サービスを使わなければいけない状態になったとしても、申請から認定まで下手すると3ヵ月ほどかかり、すぐには使えませんが、
既に認定を受けている状態であれば、使いたくない時は全く使わなくても、使わなければいけない状態になれば、すぐ介護サービスが使えます。
まだあまり手がかからず、ご家族の介護で間に合っているからと、介護保険の申請をしていないけど、
ご家族の緊急な都合で、あわてて介護サービスが必要になるケースは日常茶飯事のようにあります。
担当ケアマネージャーがつく
介護保険に認定されると、ケアマネージャーという介護サービスの段取りをしてくれる担当者が必ず付きます。
このケアマネージャーは、元々介護職や看護職などの介護・医療のプロですから、
悩んでいる事や緊急なトラブルの時でも、相談に乗ってくれてアドバイスしてくれますし、
介護サービスが必要な状態になれば、すぐに手配をしてくれます。
普段は、特に問題も無く過ごしていたとしても、何かあったらすぐに動いてくれる、
頼もしい介護・医療のプロがマンツーマンで付くのですから、
こんなに安心でお得な話はありません。
状況に応じてサービスを変えられるスピードが速い
すぐに介護サービスを使わなければいけない状態になったとしても、申請から認定まで下手すると3ヵ月ほどかかりますが、
介護保険の認定を受けていれば、ご本人の状態が変わっても「区分変更の申請」というものだけで済み、必要なサービスを早く受けられます。
例えば、
「最初はそんなに手がかからなかったのに、身体の状態が悪くなって、介護が大変になってきた…」
なんて場合は、区分変更の申請をかければ介護度が上がって、もっとたくさんの介護サービスを受けられるようになりますし、
逆に「元気になったので介護保険はもういらない!」となれば、いつでも介護保険から外れる事ができます。
これらの利点があるので介護保険の申請をお勧めしますが、世の中うまい話ばかりは無く(笑)
押さえておかなければいけない注意点もあります。
介護保険を申請したいと思った時の注意点
まず、認定が下りるかどうかは、申請先の市区町村が決める事で、希望通りの介護度がつくわけではありません。
毎日パークゴルフに出かけられるほどお元気な高齢者の方が、介護保険を申請しようとしたが断られ「介護保険に通してくれ!」と、ご相談に来られた方がいらっしゃいました。
また、ご本人やご家族の勝手な都合だけで、認定や区分変更申請が通るとは限りません。
要支援1の親と同居されているご家族から「2週間旅行に行きたいので、そのあいだ介護保険で施設に泊めてあげたい」とのご相談を受けましたが、
要支援1では費用のほとんどが自己負担になる事や、ご家族が遊びに行きたいという理由では区分変更の申請もできない事をご説明した事があります。
申請するとしても、これらの注意点を理解しておく事が大事です。
介護保険を受けるタイミングはいつが良い?現場の経験からアドバイスします! まとめ
1 介護保険を受けられる条件は?
介護保険を受けられるようになるのは、基本的には65歳からですが、特定疾病に認められている病気だと、40歳から介護保険を受けられます。
自立から要介護5まで、日常生活の中でどの程度介護が必要になるかの基準があります。
2 どのタイミングで申請すればいい?
ご本人やご家族の状態から判断して、「自立」以外の状態なら、とりあえず申請する事を勧めます。
それは、
・介護保険を使っても使わなくても良い
・担当ケアマネージャーがつく
・状況に応じてサービスを変えられるスピードが速い
という理由が挙げられます。
3 介護保険を申請したいと思った時の注意点
認定が下りるかどうかは、申請先の市区町村が決める事ですし、希望通りの介護度がつくわけではありません。
ご本人やご家族の勝手な都合だけでは、認定や変更申請が通るとは限りません。
申請するとしても、これらの注意点を理解しておく事が大事です。
介護保険を申請するタイミングは、そうとう身体が悪くなってからじゃないと受け付けてもらえない思われている方が非常に多いです。
ご家族が、介護の負担でボロボロになってからでは遅すぎます。
悩んだり心配な時には、お住まいの市区町村の介護福祉課や介護長寿化など介護サービスを担当しているところか、
お近くの地域包括支援センターに、まずはご相談される事をオススメします!