身体が活性酸素により冒される「酸化」という言葉は有名ですが、
最近では「糖化」という言葉をよく耳にします。
私も言葉だけは知っていましたが、詳しいところまでは勉強しておらず、
情報通の患者さんからは、
「はあ?プロのくせに糖化も知らないの?教えてあげようか?(笑)」
と、からかわれる始末です(笑)
糖化は身体が「コゲる」と表現されますが、この「コゲる」とはどういう意味でしょうか?
糖化を抑える為には、何に気を付ければ良いのでしょうか?
目次
糖化って何?
糖化とは、いわゆるコゲの事で、食品の脂質やたんぱく質が糖質と結び付き、メイラード反応ともいって、パンやクッキーが褐色にこんがり焼けて、サクっとした歯ざわりや良い香りを出すものですが、
この糖化が身体に起こると、骨や筋肉・神経などの細胞を「コガし」劣化させるのです。
身体の糖化が進行すると、糖化により作られる「AGEs」という物質が、肌のコラーゲンを破壊して弾力を失い、シワの原因となりますし、
肌のくすみやシミの原因となり、見た目を老化させます。
内蔵などに作用すれば、動脈硬化や白内障などの原因となり、
脳に作用した場合は、アルツハイマーになるリスクも高め、
血管にも影響を与えると、動脈硬化の原因になり、心筋梗塞や脳梗塞へ結び付くリスクにもなり、
腎臓に作用すると、腎機能が低下し尿たんぱくとなり、
骨なら骨粗鬆症、
目なら白内障や網膜症などのリスクを高めます。
このように糖化は、全身に悪影響を及ぼす恐ろしいものです。
糖化のメカニズム
穀物などの炭水化物や甘いジュースなどを摂ると、体内で分解され糖質になります。
この糖質が、筋肉などを構成しているたんぱく質と結び付くと、たんぱく質が劣化してAGEsという老廃物を出します。
このAGEsは、骨や筋肉・神経・皮膚などの細胞をコガし劣化させます。
これは、特別な病気などではなく、普通に体内で起こっている事です。
では、なぜこれが問題になるかと言いますと、
普通の健康的な食事であればAGEsの量も身体に害を与えるほどは生成されませんが、
糖質の多い食事を取り、血液中の糖質(血糖値)が高くなると、それだけ糖質とたんぱく質が結び付く量が多くなり、
結果的にAGEsの生成も増えてしまうという事です。
AGEsの生成が増えれば、全身の骨・筋肉・皮膚・内臓・脳・血管という身体のあらゆる部位の細胞を劣化させ、
様々な病気の原因となります。
認知症は糖化が原因?
認知症の原因の約60%を占めるアルツハイマー病は、脳内にシミのようなものができるのが特徴です。
そのシミからAGEが大量に検出されたため、糖化がアルツハイマー型認知症の原因の1つではないかといわれており、
健常な高齢者の脳と比べて、アルツハイマー病患者の脳には約3倍のAGEsが蓄積されていたという報告もあります。
糖化は食事で抑えられる?
AGEsは血糖値の上昇と共に、できやすくなりますので、一番できやすいのは食後1時間と言われています。
ですので、AGEsの生成を抑えるためには、血糖値を上昇させない食事の摂り方が重要になってきます。
糖化を抑える食品と飲み物
糖化を抑えるには、血糖値を急激に上げない食品を選ぶ必要があり、食品のGI値を知る事から始めます。
GI値とは、ブドウ糖の血糖上昇率を100とした場合の、血糖値の上昇する割合を数値化したもので、
このGI値が低いほど血糖値が上がりにくく糖化を抑えてくれる食品だという事です。
GI値の低い食物一覧 (GI値が低い順)
穀物・パン・麺
春雨 | GI値 32 |
おかゆ(玄米) | GI値 47 |
中華麺 | GI値 50 |
麦 | GI値 50 |
全粒粉パン | GI値 50 |
パスタ(全粒粉) | GI値 50 |
そば | GI値 54 |
玄米 | GI値 55 |
ライ麦パン | GI値 55 |
オートミール | GI値 55 |
おかゆ(精白米) | GI値 57 |
野菜
ほうれん草 | GI値 15 |
サラダ菜 | GI値 22 |
もやし | GI値 22 |
クレソン | GI値 23 |
小松菜 | GI値 23 |
チンゲンサイ | GI値 23 |
キュウリ | GI値 23 |
しらたき | GI値 23 |
レタス | GI値 23 |
みょうが | GI値 23 |
セロリ | GI値 24 |
かいわれ大根 | GI値 24 |
マッシュルーム | GI値 24 |
モロヘイヤ | GI値 24 |
こんにゃく | GI値 24 |
にがうり | GI値 24 |
グリーンアスパラ | GI値 25 |
ブロッコリー | GI値 25 |
春菊 | GI値 25 |
かぶ | GI値 25 |
ナス | GI値 25 |
なめこ | GI値 26 |
くらげ | GI値 26 |
キャベツ | GI値 26 |
ピーマン | GI値 26 |
サヤインゲン | GI値 26 |
大根 | GI値 26 |
竹の子 | GI値 26 |
しめじ | GI値 27 |
エリンギ | GI値 28 |
しいたけ | GI値 28 |
長ネギ | GI値 28 |
松茸 | GI値 29 |
えのき | GI値 29 |
レンコン | GI値 38 |
さつまいも | GI値 55 |
栗 | GI値 60 |
果物
アボカド | GI値 27 |
あんず | GI値 29 |
イチゴ | GI値 29 |
パパイヤ | GI値 30 |
オレンジ | GI値 31 |
グレープフルーツ | GI値 31 |
梨 | GI値 32 |
ブルーベリー | GI値 34 |
プルーン | GI値 34 |
レモン | GI値 34 |
キウイ | GI値 35 |
りんご | GI値 36 |
洋梨 | GI値 36 |
柿 | GI値 37 |
さくらんぼ | GI値 37 |
メロン | GI値 41 |
桃 | GI値 41 |
マンゴー | GI値 49 |
ぶどう | GI値 50 |
バナナ | GI値 55 |
レーズン | GI値 57 |
みかん缶詰 | GI値 57 |
肉・魚介
まぐろ | GI値 40 |
アジ | GI値 40 |
穴子 | GI値 40 |
えび | GI値 40 |
イカ | GI値 40 |
たらこ | GI値 40 |
ししゃも | GI値 40 |
しらす | GI値 40 |
イクラ | GI値 40 |
アサリ | GI値 40 |
ほたて | GI値 42 |
うなぎ蒲焼 | GI値 43 |
ハマグリ | GI値 43 |
ウニ | GI値 44 |
シジミ | GI値 44 |
あわび | GI値 44 |
鶏肉 | GI値 45 |
鴨 | GI値 45 |
鯨 | GI値 45 |
ラム | GI値 45 |
牡蠣 | GI値 45 |
ハム | GI値 46 |
牛肉 | GI値 46 |
豚肉 | GI値 46 |
ソーセージ | GI値 46 |
つみれ | GI値 47 |
サラミ | GI値 48 |
ベーコン | GI値 49 |
ツナ缶 | GI値 50 |
かまぼこ | GI値 51 |
焼き豚 | GI値 51 |
ちくわ | GI値 55 |
乳・乳製品・卵
牛乳 | GI値 25 |
プレーンヨーグルト | GI値 25 |
バター | GI値 30 |
卵 | GI値 30 |
低脂肪乳 | GI値 30 |
スキムミルク | GI値 31 |
ドリンクヨーグルト | GI値 33 |
マーガリン | GI値 33 |
クリームチーズ | GI値 39 |
豆・海藻
ところてん | GI値 11 |
寒天 | GI値 12 |
もずく | GI値 12 |
青海苔 | GI値 16 |
昆布 | GI値 17 |
ひじき | GI値 19 |
ピーナッツ | GI値 20 |
豆乳 | GI値 23 |
ピスタチオ | GI値 23 |
アーモンド | GI値 25 |
カシューナッツ | GI値 29 |
大豆 | GI値 30 |
枝豆 | GI値 30 |
納豆 | GI値 33 |
おから | GI値 35 |
豆腐 | GI値 42 |
油揚げ | GI値 43 |
小豆 | GI値 45 |
グリーンピース | GI値 45 |
厚揚げ | GI値 46 |
菓子・ジュース・お酒
ストレートティー | GI値 10 |
緑茶 | GI値 10 |
ブラックコーヒー | GI値 16 |
ヨーグルトドリンク | GI値 33 |
ビール | GI値 34 |
日本酒 | GI値 35 |
コーヒー(ミルク入り) | GI値 35 |
サワー | GI値 38 |
カフェオレ | GI値 39 |
ワイン | GI値 40 |
100%果汁ジュース | GI値 42 |
ゼリー | GI値 46 |
ココア | GI値 47 |
プリン | GI値 52 |
ポテトチップス | GI値 60 |
調味料
ワインビネガー | GI値 2 |
米酢 | GI値 8 |
トマトソース | GI値 9 |
醤油 | GI値 10 |
塩 | GI値 10 |
マスタード | GI値 14 |
みりん | GI値 15 |
コンソメ | GI値 15 |
マヨネーズ | GI値 15 |
豆板醤 | GI値 19 |
めんつゆ | GI値 20 |
和風だしの素 | GI値 21 |
ウスターソース | GI値 29 |
オイスターソース | GI値 30 |
ケチャップ | GI値 30 |
みそ | GI値 34 |
練りわさび | GI値 44 |
カレールー | GI値 49 |
糖化防止のためには、カロリーは関係なくGI値の低い食品を選ぶことが重要です。
糖化を抑える調理法
AGEsは、「生」→「蒸す・ゆでる」→「煮る」→「炒める」→「焼く」→「揚げる」の順に増えていきます。
焼いたり揚げたりといった調理をすると、こんがりとコゲ目がつきます。
そのコゲ目こそ糖化反応を起こしている証拠なのです。
調理でのAGEsの変化を例に挙げますと、
鶏肉(むね肉)
生肉:90g中692ku
→ 煮る(1時間):90g中 1011ku
→ 電子レンジで加熱(5分間):90g中 1372ku
→ 焼く〈15分間〉:90g中 5245ku
→ 揚げる(8分間):90g中 6651ku
と、脂質で食品を”コガす”ほどAGEsの量は多くなります。
その他の調理後のAGEs量を一覧にしました。
調理後のAGEs含有量:単位ku (低い順)
米(生) | 9ku |
トマト(生) | 23ku |
きゅうり(生) | 31ku |
玉ねぎ(生) | 36ku |
パン | 83ku |
トースト | 107ku |
スクランブルエッグ | 173ku |
オムレツ | 223ku |
にんじんなど(グリル) | 226ku |
サケ(生) | 528ku |
サケ(スモーク) | 572ku |
牛肉(生) | 707ku |
ステーキ(レア) | 800ku |
鶏(水炊き) | 957ku |
クロワッサン | 1113ku |
ドーナツ | 1407ku |
ビスケット | 1470ku |
チョコレート | 1500ku |
チョコチップクッキー | 1683ku |
パンケーキ | 2263ku |
目玉焼き | 2749ku |
サケ(フライパン焼き) | 3084ku |
えび(フライ) | 4328ku |
えび(解凍) | 4399ku |
ハンバーガー | 5418ku |
フランクフルト(ゆでる) | 7484ku |
鶏からあげ | 9732ku |
ステーキ(ウェルダン) | 10058ku |
フランクフルト(焼き) | 11270ku |
ベーコン | 91577ku |
このように、調理をすることで生の状態よりも格段にAGEs量が増えてしまうことがわかりますので、
調理の仕方次第で、糖化を進める事にもなりますし、糖化を抑える事もできるという事を憶えておいて下さい。
糖化で老ける?糖化で肌も骨も血管もコゲる?いま話題の糖化って何? まとめ
1 糖化って何?
糖化が身体に起こると、骨や筋肉・神経などの細胞を「コガし」劣化させるのです。
糖化は、全身に悪影響を及ぼす恐ろしいものです。
2 糖化のメカニズム
糖質が、たんぱく質と結び付くと、AGEsという老廃物を出します。
このAGEsは、骨や筋肉・神経・皮膚などの細胞をコガし劣化させます。
3 認知症は糖化が原因?
健常な高齢者の脳と比べて、アルツハイマー病患者の脳には約3倍のAGEsが蓄積されていたという報告もあります。
4 糖化は食事で抑えられる?
AGEsの生成を抑えるためには、血糖値を上昇させない食事の摂り方が重要になってきます。
5 糖化を抑える食品と飲み物
GI値が低いほど血糖値が上がりにくく糖化を抑えてくれる食品だという事です。
6 糖化を抑える調理法
AGEsは、「生」→「蒸す・ゆでる」→「煮る」→「炒める」→「焼く」→「揚げる」の順に増えていきます。
コゲ目こそ糖化反応を起こしている証拠なのです。
調理の仕方次第で、糖化を進める事にもなりますし、糖化を抑える事もできるという事を憶えておいて下さい。
糖化は、身体にとって、悪い影響を及ぼす事がわかっていただけたかと思います。
糖化を進める原因として、血糖値の上昇が大きく関わっていますので、
食品や調理法だけではなく、運動も併用すれば、更に効果が出る事も憶えておいて下さいね♪