病気で障害が残った元教員の方から、職場復帰のご相談を受けました。
障害者としての収入源は障害者基礎年金しかありませんので、
生活費を稼ぐため職場復帰して収入を得なければいけません。
しかし、建前とは裏腹で、
学校や教育委員会の障害者雇用の現状は厳しいものがあり、そう簡単にいくものでもありません。
障害者となってしまった教員の職場復帰は可能なのでしょうか?
せっかく持っている教員免許は活かせないのでしょうか?
目次
教育委員会の障害者雇用の現状
厚生労働省の発表では、
平成29年度の教育委員会での障害者雇用は、
法定雇用2.2%のうち、市町村教育委員会が0.4%達成できていないだけで、
全体としては2.22%で、( )内の前年と比較して0.4%アップして、雇用率を達成しています。
出展:厚生労働省
しかし、これはあくまでも統計上の数値であって、
現実には、この数字の裏側に様々な問題点が隠されているようです。
まず、この教育委員会全体の雇用率2.22%の内訳として、
事務局員としての雇用が4%以上に対して、
教員の雇用は1%強と非常に少ないわけです。
教育委員会側の説明としては、
教員免許を持っている障害者からの応募が少ないという事ですが、
実際に教員からケガや病気で障害者となられて、復職しようとした方々のネット上での声は、
幼稚園・小学校・養護学校・理学校・大学・専門学校の教職者は障害者雇用促進法から除外されている事で、
元々、除外されているところで教員をしていた方の職場復帰はできない
というところに問題があるとの声があり、
その他にも
・復職しようとしてもなかなか採用してもらえない。
・トイレなどの環境を整えてもらえない。
・障害者として配慮された業務ではなく、普通の健常者としての業務を強いられる。
・必要な業務はやっているが、他の教員と比べて仕事量が少ないと言われる。
という問題があり、
結局は退職してしまうという方がほとんどだ
という話が目立ちました。
中には、上司から直接「辞めて欲しい」と言われた事例もありました。
教員免許を活かした再就職にはどんなものがあるのか?
学校以外でも教員免許を必要とする仕事はありますし、
教員免許は必要ないが、教員の知識や経験を活かした仕事があります。
これらの仕事を一覧にしてみました。
教員免許が必要な仕事
・児童指導員
・講師・非常勤講師
教員免許は必要の無い仕事
・補助教員
・学習支援員・学習指導員
・特別支援教育支援員
・学童スタッフ
・学習塾講師
・予備校講師
・学習塾や予備校の運営スタッフ
・家庭教師
・体験型 幼児教室
・受験指導型 幼児教室
では、ひとつずつ簡単に説明していきます。
児童養護施設などで、子どもたちが心身共に健全に成長するようサポートします。
子供たち1人ひとりが年齢や能力に応じた生活が送れるような環境作りを、施設内の保育士や児童相談所、通学する学校などと連携しながら行います。
また、施設を出たあとに社会や家庭に適応できるように、基本的な社会生活習慣を身につけさせます。
常勤講師は、正規教員とほぼ同じで、授業はもちろん、クラス担任や部活の顧問を任されることもあります。
非常勤講師は、特定の教科の授業のみを担当します。
教員の補助をする仕事です。
授業で使う資料を用意したり、授業がスムーズに進むようにサポートします。
通級クラスや放課後補習などで学習を支援します。
授業についていけない児童や個別のフォローが必要な児童を指導します。
特別支援学級の児童をサポートします。
日常生活に必要な事や社会のルール、コミュニケーションなどを訓練します。
放課後や休みの日に小学生を預かって児童を見守ります。
学校以外で学習させる場です。
集団指導、個別指導など、いろいろな形態があります。
大学・短期大学を受験する高校3年生、浪人生を対象として指導します。
事務や採点、保護者対応、生徒の質問や相談を受け付けたり、広報活動やサイトの作成など、学習塾や予備校の運営を支えます。
生徒の自宅に訪問し学習指導を行います。
個人で請け負う事もできますが、仲介する会社に登録し、生徒を紹介してもらう方法が一般的です。
リトミック、英語、造形、知育遊びなどの体験型教室です。
遊びの延長で興味を持たせ、子どもの潜在能力を引き出したり、身体感覚を鍛えたりします。
幼稚園・小学校受験のための教室です。
教育以外にも、礼儀作法や面接試験の練習も行います。
これらの仕事がありますが、
50人以上の従業員が居る企業が運営しているところでは障害者雇用促進法が適用されますし、
家庭教師などはフリーランスでも出来る仕事です。
ご自身の希望や、障害の形態や程度なども考えて選べば良いかと思います。
教員が障害者になってしまったら職場復帰は可能か 教員免許を活かせる仕事はある? まとめ
1 公的機関の障害者雇用の現状
全体としての雇用率は2.22%で、( )内の前年と比較して0.4%アップして、雇用率を達成しているが、
幼稚園・小学校・養護学校・理学校・大学・専門学校の教職者は障害者雇用促進法から除外されている事で、元々、除外されているところで教員をしていた方の職場復帰はできないという問題や、
・復職しようとしてもなかなか採用してもらえない
・トイレなどの環境を整えてもらえない
・障害者として配慮された業務ではなく、普通の健常者としての業務を強いられる
・必要な業務はやっているが、他の教員と比べて仕事量が少ないと言われる。
という問題があり結局は退職してしまうという話が目立つ。
2 教員免許を活かした再就職にはどんなものがあるのか?
教員免許が活かせる仕事として、
・児童指導員
・講師・非常勤講師
教員免許は必要の無い仕事として、
・補助教員
・学習支援員・学習指導員
・特別支援教育支援員
・学童スタッフ
・学習塾講師
・予備校講師
・学習塾や予備校の運営スタッフ
・家庭教師
・体験型 幼児教室
・受験指導型 幼児教室
などがある。
説明は本文を参照。
教員として働いていた方が、元の職場へ同じ条件で復帰するのは、現状のシステムでは、かなり難しい事です。
元教員の方に限らず、障害者となってしまった方々の職場復帰は非常に困難を極めます。
そんな方々にいつも
「生まれ変わったつもりで、他にやりたい仕事を探しましょう!」
と、少しでも前向きに考えられるよう促しますが、
出来る仕事の選定や実際の就職には苦労します。
障害者の方々が、
”現在できる事”
だけではなく、
”頑張れば出来るようになれる事”
も判断できて、
実際に、それが出来るように能力を高められて
それを企業へプレゼンテーションし、
就職に結び付けられるようなシステムを作り出す事が急務だと思います。