ご病気で障害者になってしまったが再就職したい方。
生まれつき体が不自由だが働きたい方。
支援学校を卒業して就職したい方。
障害者の方々も、働きたい方はたくさんいらっしゃいます。
しかし、なかなか容易ではないのが現状です。
働きたい障害者を支援してくれている制度は?
働きたい障害者の方々は、どうやって仕事を探せば良いのでしょうか?
働きたい障害者を支援する制度の問題点を、現場で感じている私的な意見で語ります!
目次
障害者雇用率制度ってご存知ですか?
障害者雇用率制度とは、
という事ですが…難しくて意味がわかりませんよね?(泣)
要は、
企業や役所は、一定の割合の人数は障害者を雇わないといけないんですよ。
という制度です。
具体的には、
法定雇用率 |
||
民間企業 | 2.0%
(対象労働者数50人以上の規模) |
平成30年4月1日から
2.2% |
特殊法人
独立行政法人 |
2.3%
(対象労働者数43.5人以上の規模) |
|
国・地方公共団体 | 2.3%
(除外職員を除く職員数43.5人以上の機関) |
平成30年4月1日から
2.5% |
都道府県等の教育委員会 | 2.2%
(除外職員を除く職員数45.5人以上の機関) |
平成30年4月1日から
2.4% |
上記の表の割合で、障害者を雇わなければいけない。
という制度があるんです。
この制度のありがたいところは、障害者雇用納付金制度という制度があって、
雇用率が達成できていない企業から納付金を徴収して、
それを、雇用率を達成できた企業に調整金や報奨金として支給したり、各種の助成金を支給したりしているところです。
怠けて障害者の雇用率を達成できていない企業から罰金を取って、
頑張って雇用率を達成した企業に支給してくれるなんて、
こうやって厳しく障害者の就業を支えてくれているところが、
就職に苦労する障害者にとっては、非常に助かる制度なんです。
ただ、
「雇用することを義務づけられている」
なんて、
雇ってやってる的な言い方されるのは、障害者が差別されている感じがして、何かムカつきますが…
障害者の就職を支援してくれている制度ですから、まあ良しとしてあげましょう(笑)
障害者雇用の現状は?
平成29年6月の時点で、
障害者雇用率制度で民間企業に雇用されている障害者の人数は、
495,795人となっており、
全体の雇用率は1.97%
法定雇用率達成企業の割合は50%
と、なっていて
14年連続で増えてはいますが、
全体の法定雇用率は、まだまだ達成されていません。
傾向として、大企業は法定雇用率を上回っていますが、
中小企業は雇用率を達成できない割合が多く、
企業の規模が小さいほど達成率が低い傾向にあるようです。
病院や介護・福祉施設などは、さすがに決められた雇用率を上回っているようですが、
大企業と比べるとまだまだ低いです・・・
障害者が採用された職種としては、
障害者が採用された職種 | |
作業職 | 31% |
事務・管理職 | 26% |
サービス職 販売職 |
26% |
専門・技術職 | 9% |
その他 | 8% |
という割合になっています。
障害者が仕事を探す方法は?
障害者の方々が仕事を探すには、
・ハローワークで登録する。
・就職情報サイトから応募する。
・企業の採用ホームページから応募する。
・障がい者向け企業説明会・合同企業面談会に参加する。
などの方法があります。
この他、自治体や商工会議所などが主催している就職説明会や
職業訓練等もありますので、これらを利用するもの有効です。
実際の現場で感じる障害者雇用の問題点は?
私が仕事で関わっている障害者の方々も、仕事がしたいと思っている方はたくさん居らっしゃって、
実際にハローワークに登録している方もけっこうおられますが、
仕事が決まるまで、けっこう期間がかかる…
のならまだ良い方で、
ほとんどの方がなかなか決まらない…というのが、実際の現場の状況です。
就職情報サイトからも、就職先の情報はいろいろくれるのですが、
病気や障害の状況で環境が合わず、なかなか決まりません。
実際に採用された職種のデータをみても、作業職や事務職が多いのは、
職業としての特別な訓練を受けたわけでもなく、
身体や知的に障害を持っているという状況では、
決まった作業をルーティンで行う仕事しかないからでしょう。
サービス・販売職が少ないのも、
接客という仕事が伴う事で、お客様とのトラブルや、障害者ご本人のコンプレックスやストレスなども関連しているんだと思います。
大企業では、障害者雇用の社員だけの業務やシフトを準備しているような事も聞きましたし、
身体に障害を持つ方を受け入れるには、入り口や通路・トイレなどの改修も必要です。
このように、健康な方とは違う勤務形態や環境整備も必要だと考えると、
中小企業には障害者を雇用する事自体に負担がかかる事も理解できなくはありませんし、
人件費として余裕の無い中小企業は、障害者を雇う事自体が厳しい事も分かります。
しかし、企業側もボランティアで受け入れる訳ではなく、
障害者を法定数以上に雇用すれば、助成金も出るわけですから、
できれば頑張って、ご協力をお願いしたいところです。
障害者雇用を支援している側の問題点とは?
障害者雇用率制度では、
平成30年4月から段階的に障害者雇用を推進していく方針を打ち出していますから
先行きは明るい…
と言いたいところですが、
私個人としては、障害者雇用の考え方自体が、
現状が分かっていないというか…
変えていくのは、
「どうやって障害者を企業に雇わせるのか?」
ではなく、
「障害者が希望の職種で働くには何をしてあげればいいか?」
を考えなくてはいけないと思います。
実際の現場でも、
- 車椅子やトイレなど働く環境が合わなくて諦める方。
- てんかんなどの発作があるために会社に居る事が難しい方。
- 通勤が難しい方。
など、
健常者の社員と同レベルの能力を持っている方でも、
病気や障害としての問題が邪魔をして、諦めている方もたくさんいらっしゃるんです。
能力はあっても環境が合わないのであれば、
障害者の方が環境に合わせられるような能力開発をすれば良いですし、
職業訓練より、環境に順応する訓練が必要な方もたくさんいらっしゃいます。
実際に、今は環境に順応できなくても、訓練すればできるようになる障害者の方はたくさんいらっしゃいますが、
なかなかその機会に恵まれないというのが、就職を難しくしている要因のひとつではないかと思います。
更に、身体障害の方でも、知的障害の方でも、
その方々の個性に合った職種を探してあげる事も雇用を支える側として、重要な役目だと思います。
私が出入りする施設でも、知的障害の方が働いているところはたくさんありますが、
知的障害にもいろいろな障害があり、
それを理解して雇用しているところは少ないと思っています。
知的な障害としてだけでも、
じっとしているより動いている事が得意な障害と、
常に動いているより集中して行う作業が得意な障害とでは、
能率の上がる作業は違うわけです。
以前、ある施設で知的障害者の女の子が廊下に座り込んで、
雑巾でゴシゴシと、床の汚れを一心に取っている光景を見かけました。
この女の子は、臨機応変に動いたり、機転をきかせる事は苦手ですが、
同じ事に集中するのは得意な障害を持っていました。
1か月もすると施設の廊下全体がピカピカになって、
清掃のおばちゃんもすごく喜んで、施設長も「雇ってよかった」と喜んだ。
という、事がありましたが、
これは、その女の子が得意な事と施設が求めている作業がたまたま合致して成功した例で、
中には、「役に立たなかったので辞めてもらいました」
なんてひどい事をする施設もありました。
今後は、病気や障害の特性を理解して、
もっと積極的に障害者の希望と能力開発に力を注ぐような支援が必要だと思います。
就職したい障害者が増えているけど・・・仕事はある? まとめ
1 障害者雇用率制度ってご存知ですか?
企業や役所は、勤めている社員や職員の人数のうちある一定の人数は障害者を雇わないといけない制度。
就職に苦労する障害者にとっては、助かる制度
2 障害者雇用の現状は?
全体の雇用率は1.97%、法定雇用率達成企業の割合は50%と、なっていて14年連続で増えてはいるが、全体の法定雇用率は達成されていない。
3 障害者が仕事を探す方法は?
・ハローワークで登録する。
・就職情報サイトから応募する。
・企業の採用ホームページから応募する。
・障がい者向け企業説明会・合同企業面談会に参加する。
この他、自治体や商工会議所などが主催している就職説明会や職業訓練等もあるので、これらを利用するもの有効。
4 実際の現場では?
ほとんどの方がなかなか就職が決まらない…というのが、実際の現場の状況。
5 障害者雇用の今後
障害者雇用率制度では、平成30年4月から段階的に障害者雇用を推進していく方針を打ち出している。
変えていくのは「どうやって障害者を企業に雇わせるのか?」ではなく「障害者が希望の職種で働くには何をしてあげればいいか?」を考えなくてはいけないと思う。
障害者の雇用については、
国も自治体も力を入れてくれそうですし、
ITも発達し、在宅でできる仕事で
通勤や職場環境の問題も少なくなっていきそうです。
ただ、
「自分に何ができるのか?」
「がんばれば出来るようになるのか?」
「どう頑張れば自分がやりたい事を出来るようになるのか?」
って、障害者ご本人は自分じゃわかりません。
障害者お一人お一人の到達できる能力を専門家の目で見極めて…
本当に希望が叶うように、職業訓練以外の部分も総合的に医療・福祉以外のいろいろな分野を繋いで支援していく…
そんな手助けがあれば、もっと障害者の方々が働きやすい社会ができると思います!