糖尿病の治療では、インスリン治療を除き、服薬の効果は2割程度だと言われています。
残り8割は、運動や食事などの生活習慣で治療していくわけですが、
私が関わっている糖尿病の患者さん達は皆さんいろいろ工夫していらっしゃいます。
今回は、糖尿病の患者さんの皆さんが食事で工夫している事を聞いてきました。
目次
糖尿病の食事の摂り方
糖尿病の食事の摂り方は諸説ありますし、食品を点数制にしたりGI値を導入するなど、
様々な食事療法を病院で細かく指導されますが、
糖尿病の食事の摂り方は、大雑把に言いますと、
- カロリーを抑える
- 3食きちんと食べる
- バランス良く食べる
- 甘い物を控える
というものになります。
カロリーを抑える
運動不足や食べ過ぎが原因で肥満になるとインスリンが働きにくくなり、インスリンが十分な量を分泌されていても、効果を発揮できない状態になります。
これをインスリン抵抗性といいます。
カロリーを制限する事で、インスリン抵抗性が改善して、インスリンが働きやすくなります。
3食きちんと食べる
膵臓から出るインスリンの量は、食べた量に比例しますので、1度に大食いをするとインスリンが出過ぎます。
インスリンが出過ぎると膵臓を疲れさせ、膵臓からインスリンが出にくくなってしまい、糖尿病を悪化させます。
糖尿病を治療するためには、1日3食きちんと食べて、1回の食事量を減らす事が必要です。
バランス良く食べる
糖尿病は、糖質や炭水化物の摂り過ぎはもちろんいけませんし、
ただでさえ動脈硬化になりがちな糖尿病で、脂質の摂り過ぎはさらに動脈硬化のリスクを高め、
塩分の摂り過ぎは血圧を高めて合併症のリスクを高めます。
主に野菜に含まれる食物繊維は、食後の血糖値の上昇を抑えますし、少ないカロリーで満腹感を得られますが、
野菜だけでは代謝が高められず、消費するカロリーが低くなります。
このように、1回の食事で栄養素が偏ると糖尿病を悪化させたり、合併症につながる危険性が高くなります。
甘い物を控える
糖質の摂り過ぎは、血糖値を急激に高くしてインスリンの分泌を増やします。
インスリンの分泌が増えすぎると膵臓が疲れる原因になり、
膵臓の疲労でインスリンが出にくくなる事で糖尿病が悪化します。
糖尿病の患者さんが食事で独自に気を付けている事
病院で指導される食事療法は、あくまで一般的なもので、
個人の好みや食べ方などを考えて、個別に作っているものではありませんので、
病院で指導された通りに実行すると、美味しくなかったり、面倒臭かったりして、
食事療法を続けられない人が多いのが現実です。
そこで、糖尿病の患者さんは、食事療法を持続するために、
自分の食べ方に合った食事の摂り方をそれぞれ工夫していらっしゃいます。
糖尿病の患者さんが実際にどんな工夫をしているか、聞いてきました。
野菜を一番先に食べる
これは、多くの糖尿病の患者さんが実行されている食べ方ですが、
食事をする際に、先にサラダなどで野菜をたくさん食べてから、普通の食事を摂られていました。
この食べ方は、テレビや雑誌などでよく紹介されている食べ方ですが、
テレビなどで紹介されただけあって理にかなっている食べ方です。
野菜は低カロリーの上に空腹感を満たしてくれますので、
野菜を先に食べる事で、その後に食べる他の食物の量を減らしてくれます。
また、野菜は食物繊維を多く含んでいますので、
腸からの炭水化物の吸収を遅らせ、血糖値の上昇を抑えます。
肉類を食べる時には脂分を除く
糖尿病の患者さん達は、いろいろな方法で肉類の脂分を除いていらっしゃいました。
- 鶏肉はムネニクを選ぶ
- 鶏肉のモモミを食べる時は皮を剥ぐ
- 豚肉は脂身を取る
- 牛肉は赤身を選ぶ
- 蒸した肉しか食べない
- 網で焼いて脂分をしっかり落としてから食べる
などの食べ方で、徹底的に脂分を除去していらっしゃいました。
脂分の摂り過ぎはカロリーも高く肥満になり血糖値を下げるインスリンの働きを悪くしてしまいますし、
脂分そのものが悪玉コレステロールを増やし動脈硬化のリスクも高めますので、
脂分を除く食べ方は、良い事だと思います。
調理に使う油は植物油しか使わない
調理に使う油は植物油しか使わないという方も多くいらしゃいました。
確かに、サラダ油やオリーブオイルは、コレステロールや中性脂肪を減らすと言われている「不飽和脂肪酸」を含んでいますし、
オリーブオイルに多く含まれる「オレイン酸」は、善玉コレステロールを減らさず悪玉コレステロールだけ減らす働きがあるようです。
ただし、紅花油・コーン油・サンフラワー油などに含まれる「リノール酸」は、
酸化すると、血管の炎症や血液をドロドロにすると言われていますので、植物油だからと言っても注意が必要です。
100回噛んでから飲み込む
100回噛んで飲み込むと言っても、厳密に100回噛んでいらっしゃる訳ではなく、
100回噛むつもりでゆっくり噛んでから飲み込むという方が多くいらっしゃいました。
早食いは血糖値を急激に上げる原因になりますので、ゆっくり噛むというのは非常に良い方法だと思います。
玄米や雑穀米を食べる
糖尿病になって食事療法を始められた方で、白米を玄米や雑穀米に変えられたかたは多くいらっしゃいました。
玄米や雑穀米は白米に比べ、
食物繊維、ミネラル、ビタミンB群、マグネシウムなどが多く含まれ、
食物繊維も多いので、病院の食事療法でも推奨されている食べ方です。
米は混ぜご飯で食べる
この食べ方をされている方はお一人でしたが、
米を食べる時は白米では食べず、混ぜご飯やとろろご飯で食べるそうです。
この食べ方は、雑誌でみて始められたそうで、
実際にネットで調べてみましたら、確かに神奈川県立保健福祉大学の杉山みち子教授らの研究で、
白米よりも混ぜご飯の方がGI値が低く、血糖値の上昇を抑えてくれる食べ方との事です。
タマネギスープを食べる
これもお一人の方が実践していらっしゃる食べ方でしたが、
タマネギスープを朝食と夕食で1杯ずつ食べるというものです。
これは、グリル満天星総料理長の窪田好直さんという方が勧められている食べ方だという事をお聞きしましたので調べてみましたら、
タマネギに含まれる硫化プロピルが糖の代謝を促進して、血糖値の上昇を抑えてくれるという事でした。
ゴーヤ茶を飲む
これもお一人の方が実践されていた方法で、
ゴーヤを薄切りにしたものを天日干しにして、干したゴーヤを煮出したものをご自分で作って、
普通のお茶がわりに飲んでいらっしゃいました。
このゴーヤ茶は、雑誌で見付けられたという事で調べてみると、
鈴鹿医療科学大学保健衛生学部教授の三浦俊宏先生が勧められている方法のようです。
ゴーヤを使って血糖値を下げる市販品では、以下のものがありました。
これは、今流行している「紅菊芋パウダー」というサプリメントを飲んでいらっしゃるという事でした。
紅菊芋パウダーには、イヌリンという食物繊維が含まれており、
イヌリンが大腸で血糖値を下げるスイッチになるというのを
NHKの「ためしてガッテン」という番組でご覧になり、気になっていたところで、
この紅菊芋パウダーが流行している事を知った時から飲んでいらっしゃるそうです。
これが、なかなか効果が高いとの事で、私にも強く勧められました。
私が関わっている患者さん達が、
テレビや雑誌などで得た情報を基に、
独自に行なわれている食事法です。
糖尿病の食事療法は、
糖尿病の状態や合併症なども含め、
個人差が効果に大きく反映します。
実行される場合は、
必ず主治医に相談してから実行して下さいね。
糖尿病のご飯の食べ方ってみんなどうしてます?実際に患者さん達に聞いてみました! まとめ
1 糖尿病の食事の摂り方
糖尿病の食事の摂り方は、大雑把に言いますと、
- カロリーを抑える
- 3食きちんと食べる
- バランス良く食べる
- 甘い物を控える
というものになります。
2 糖尿病の患者さんが食事で独自に気を付けている事
糖尿病の患者さんが実際にどんな工夫をしているか、聞いてきました。
- 野菜を一番先に食べる
- 肉類を食べる時には脂分を除く
- 調理に使う油は植物油しか使わな
- 100回噛んでから飲み込む
- 玄米や雑穀米を食べる
- 米は混ぜご飯で食べる
- タマネギスープを食べる
- ゴーヤ茶を飲む
- 紅菊芋パウダーを飲む
※これらの食事法は、私が関わっている患者さん達が、テレビや雑誌などで得た情報を基に、独自に行なわれている食事法です。
糖尿病の食事療法は、糖尿病の状態や合併症なども含め、個人差が効果に大きく反映します。
実行される場合は、必ず主治医に相談してから実行して下さいね。
実を言いますと私も糖尿病なのですが、
食べたいものが我慢できず、食事療法が上手くいっていません(泣)
今回の取材は、私自身にもかなり役に立つ取材でしたので、
主治医と相談しながら、この中のどれかを実行してみたいと思います。
結果は、また記事でご報告致しますね♪