8年越しの花嫁 と 彼女が目覚めるその日まで!2つの映画の恐ろしい共通点とは?

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「8年越しの花嫁 奇跡の実話」とは、

人気絶頂の佐藤健と土屋太鳳が夫婦役で出演する映画です。

一方、「彼女が目覚めるその日まで」とは、

あの「キック・アス」シリーズで大人気となった、

クロエ・グレース・モレッツが主演のアメリカ映画です。

この2つの映画の恐ろしい共通点とはいったい何でしょう?

この2つの映画は、2017年12月16日の公開という共通点はあるものの

日本映画とアメリカ映画という、全く繋がりの無い映画のようですが、

実は、この映画は両方のヒロインとも「抗NMDA受容体抗体脳炎」

という病気にかかった悲劇という共通点があります。

しかし、この抗NMDA受容体抗体脳炎が共通点というのは

ネタバレのように、あちこちで語られています。

実は、医学の目線から見ると、この映画にはもっと恐ろしい共通点があります。

それは、抗NMDA受容体抗体脳炎の症状の経過に表されています。

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抗NMDA受容体抗体脳炎とは何?

抗NMDA受容体抗体脳炎とは、医学的に言うと

脳の興奮性の神経伝達物質にグルタミン酸があり、

このグルタミン酸の受容体(NMDA型グルタミン酸受容体)に

自己抗体ができ、起こる急性型の脳炎。

となりますが、難しすぎて何の事かわかりませんよね?(笑)

簡単に言いますと、急に脳の神経回路がおかしくなって

いろいろな症状が出る病気という事です。

この病気の症状は、

まず、発熱や頭痛など風邪のような症状から始まります。

発熱や頭痛は3日~5日ほどで治まりますが、

その後、幻覚を見て変な事を言い出したり、

「死にたい」「もう死ぬの」など自殺念慮と呼ばれる

自殺をほのめかす言葉を口に出し始める

精神障害のような症状が出ます。

その後、突然鏡を見て笑いだしたり、

大声を出しながら暴れたり、記憶障害が出ます。

さらに、全身の硬直や痙攣が出たり

顔面が勝手に動いたり(ジスキネジア)、

呼吸障害や自律神経障害も出て、

時には昏睡状態となり、

数か月~数年も意識の無い状態となる場合もあります。

原因は、卵巣の奇形腫が問題であるケースが多いのですが、

奇形腫が無いケースもあり、原因はハッキリしていません。

「8年越しの花嫁 奇跡の実話」と「彼女が目覚めるその日まで」の恐ろしい共通点とは?

この2つの映画の共通点は、

主人公が抗NMDA受容体抗体脳炎にかかった悲劇という事ではなく、

抗NMDA受容体抗体脳炎の一番恐ろしい部分を表しているという事です。

抗NMDA受容体抗体脳炎は精神障害の症状が出ると言いましたが、

この精神障害の症状が先に出るので、

ほとんどの場合、精神科や心療内科を受診し、

統合失調症などの精神疾患としての診断が出て

間違った診断で治療している間に病気が進行していくという点が

恐ろしいのです。

「8年越しの花嫁 奇跡の実話」と「彼女が目覚めるその日まで」

どちらの映画の主人公も、最初は精神科を受診し、

精神疾患の病名がつけられて入院します。

そして、「8年越しの花嫁 奇跡の実話」では入院中に状態が悪化し、

「彼女が目覚めるその日まで」では、担当ではないドクターが異変に気付いてくれる

などして、抗NMDA受容体抗体脳炎という病気だと判明するのです。

あまり詳しく書くとネタバレになってしまうので、

ここまでにしておきますが(笑)

もし、これが意識障害だけで痙攣などが出なかったら・・・

もし、精神科のドクターが精神疾患では出ない症状に気付いてくれなかったら・・・

抗NMDA受容体抗体脳炎とは分からず、方向違いの治療を続けて

一生を棒に振る事になります。

抗NMDA受容体抗体脳炎は元々、治るまでに時間はかかりますが、

予後は良い方で、適切な治療を続ければ良くなる確率の高い病気です。

どちらの映画も、偶然に抗NMDA受容体抗体脳炎とわかったからこそ

適切な治療をする事ができ、感動のハッピーエンドを迎えられたわけです。

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病気はわかり難い・・・からこそ、セカンドオピニオンが大事!

病気というのは非常に複雑で、

同じ病気の人でも個人差でぜんぜん違う症状が出たりします。

私が担当した患者さんでも

整形外科で「腰椎すべり症」と診断が出ているのに

訪問してみたら、どうみても「パーキンソン病」の症状が出ているので

主治医には内緒で神経内科を受診してもらったら

「パーキンソン病」だった。

という方もいらっしゃいました。

また、何十年も前に「統合失調症」(昔は分裂症という診断名だった)

という診断が出たまま寝たきりの患者さんがいらっしゃいましたが、

その症状が、

統合失調症じゃないのに統合失調症の薬を飲んでいる時の

副作用が出ている状態でした。

この副作用のせいで、舌が常に動いており

食事がまともに摂れず、おかゆぐらいしか食べられない状態でした。

これを、主治医に意見したところ、取り合ってもらえず、

別の大きな病院のドクターに服薬状況と症状を相談したところ

「レビー小体型認知症」という全く別の病気ではないか?

とアドバイスをいただきました。

そのドクターは。

「昔はまだレビー小体型認知症は知られてなかったから、症状が似ている統合失調症に間違われる事も多かったんだよね」

とおっしゃっていました。

結局、私の力足らずで診断名は変えられなく、

治療薬も統合失調症の治療薬のままでしたので、

副作用自体も治らないまま、

数年後に旅立たれました。

その副作用が原因で旅立たれたわけではありませんが、

私は今でも

「あの患者さんにあの副作用が無ければ、もっと楽な生活が送れただろうに・・・」

と考えるだけで胸が苦しくなります。

これは、ドクターが誤診をしたという訳ではなく、

専門外の病気には気付き難いというのがあるからなのです。

その科目に関して専門性が高く、優秀なドクターだからこそ

専門外の病気を特定するのは難しい・・・

という側面があるからこそ、

「複数の病院にも行って、違った角度から病気を診てもらう」

というのがセカンドオピニオンの大事なところです。

8年越しの花嫁 と 彼女が目覚めるその日まで!2つの映画の恐ろしい共通点とは? まとめ

まとめ

1 抗NMDA受容体抗体脳炎とは何?
抗NMDA受容体抗体脳炎とは、医学的に言うと脳の興奮性の神経伝達物質にグルタミン酸があり、このグルタミン酸の受容体(NMDA型グルタミン酸受容体)に自己抗体ができ、起こる急性型の脳炎。
簡単に言うと、急に脳の神経回路がおかしくなっていろいろな症状が出る病気

2 「8年越しの花嫁 奇跡の実話」と「彼女が目覚めるその日まで」の
恐ろしい共通点とは?

間違った診断で治療している間に病気が進行していくという点が恐ろしい。

3 病気はわかり難い・・・からこそ、セカンドオピニオンが大事!
同じ病気の人でも個人差でぜんぜん違う症状が出る。
複数の病院にも行って、違った角度から病気を診てもらうというのがセカンドオピニオンの大事なところ

もし、皆さんが重い病気になったら

是非、1か所だけではなく、

少なくとも、もう1・2か所は

違う病院で診てもらう事をおススメします♪

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