高齢化が深刻化するといわれている2025年問題を間近に控え、
ペットの高齢化問題もメディアなどで取り上げられる事が多くなりました。
私も高齢者の方々の生活の質を高める為にはペットの問題は切り離せないと思い、
数年前からペットのリハビリの講演会や学会などに参加させていただいています。
ペットの高齢化の現状は?
老老介護とはいったいどんなものでしょう?
改善策はあるのでしょうか?
目次
ペットの現代病
昔は放し飼いで外を飛び回れていたペット達も、
今は狭い室内で一日の大半を過ごし、運動不足やストレスを抱える生活は人間と同じです。
以下のグラフは「犬の病気・猫の病気大辞典」からデータを引用しグラフ化したもので、
比率は違えど、人間とペットは同じ病気で亡くなっているのです。
その他、ペットも人間と同じ糖尿病や肝臓病などの病気にかかる現代病が問題になっています。
ペットの高齢化
現代のペットを取り巻く環境は、悪い部分だけではなく、ペットの寿命も延ばしています。
このグラフは、日本ペットフード協会や東京農工大などの調査データを合わせてグラフ化したものです。
このように、犬・猫の平均寿命は年々延びており、現在では犬・猫ともに15歳以上は当たり前という状態になっています。
犬・猫の15歳を人間の年齢に換算すると、
イヌの年齢 | 15歳 | 16歳 | 17歳 | 18歳 | 19歳 | 20歳 |
人間の年齢に換算 | 82歳 | 87歳 | 91歳 | 96歳 | 100歳 | 105歳 |
ネコの年齢 | 15歳 | 16歳 | 17歳 | 18歳 | 19歳 | 20歳 |
人間の年齢に換算 | 76歳 | 80歳 | 84歳 | 88歳 | 92歳 | 96歳 |
となり、
日本人の平均寿命が男性80歳、女性は86歳という中、犬・猫の15歳という平均寿命が人間と同じくらいである事がご理解いただけるかと思います。
ペットの高齢化と病気は、高齢者の飼い主との老老介護という問題を生み出しています。
ペットの老老介護
ペットの高齢化が進む事により、高齢者の飼い主の”老老介護”の問題が浮上します。
ペットの平均寿命が15歳を超え20歳に達するという事は、飼い主が70代というお元気な頃に買い始めたとしたら、ペットが高齢化する頃には飼い主も85歳~90歳に達するという事になります。
ペットも高齢化すれば人間と同じように、認知症であちこちにオシッコやウンチをしたり、寝たきりになって介護が必要となる事があります。
飼い主が高齢化していれば、ペットの介護が大きな負担になってきますし、
飼い主自身が高齢者施設などへ入居しなければいけない状況になれば、ペットの世話をする事自体ができなくなります。
そこで、ペットの高齢対策が社会問題として浮上し、その対策がピックアップされている訳です。
ペットの老老介護への改善策は?
ペットの老老介護への対策として、
ペットの高齢施設やペット可の老人ホーム、ペットへのリハビリの普及が大きくピックアップされています。
施設としての対策
ペットの老老介護への施設としての対策として、
・老犬ホーム
・ペット可高齢者向け住宅
・ペット可老人ホーム
・ペット信託
などの新たな施設・サービスが現れています。
老犬・老猫ホーム
犬・猫版の老人ホームとして、有料で終生まで世話を代行してくれるサービスです。
このサービスは、犬専門・猫専門として別々に預かってくれる施設もあれば、犬も猫も同じ施設内で預かってくれる施設もあります。
このサービスは2014年には全国で20軒ほどだったものが、現在では110軒を超え、現在も増え続けており、協会も設立されています。
出展:Gooブログ
ペット可高齢者向け住宅
お元気な高齢者がご自分で生活できたり、調理など生活の一部だけを頼る「高齢者向け住宅」でペットと一緒に暮らせるサービスです。
自分で飼育するのが難しい場合は、スタッフが代行してくれるサービスもあります。
ペット可老人ホーム
ペット信託
飼い主にもしもの事があった時に、残されたペットのための保険です。
ペット信託に預けておいたお金を、契約している新しい飼い主や預かってくれる施設へ定期的に渡し、そのお金でペットのお世話をしてもらうサービスです。
出展:sozoku.com
これらのサービスを利用すれば、高齢や病気でペットの世話ができなくなった時も、安心して生活できます。
リハビリとしての対策
リハビリは、ペットが病気やケガで負った障害を軽減するために行われますが、
ペットと飼い主の老老介護という観点からみると、
ペットが高齢化や病気で動けなくなる事を防ぎ、飼い主の介護負担にならないようにリハビリをします。
日本では、動物のリハビリとしての資格はありませんが、
獣医師や動物看護師がリハビリを行っており、日本動物リハビリテーション学会などが普及に努め、動物理学療法の学校もぞくぞくと開設されています。
また、人間のリハビリの専門家である理学療法士が獣医学を学び、動物のリハビリに関わっており、
全国の理学療法士が所属している日本理学療法士協会では動物に対する理学療法部門も開設されているなど、急速に普及が進んでいます。
動物リハビリテーションとして、
徒手療法
マッサージ
ストレッチ
関節可動域訓練
モビライゼーション
マニピュレーション
出展:アリイ動物病院
物理療法
超音波療法
温熱療法
レーザー
電気治療
出展:もぐ動物病院
運動療法
反射の誘発
補助起立
体重加重
補助歩行
バランス・ボード
引き縄歩行
階段の上り下り
水中療法
トレッドミル
などが行われており、人間にも行われているリハビリとして基本的なものが盛り込まれています。
これらは、特別なリハビリ施設だけで行われているのではなく、
個人で開業されている獣医さんが治療の一環として取り入れているところもありますし、
訪問リハビリとしてご自宅へ出向きリハビリを行っているサービスもあります。
動物リハビリテーションの効果としては、
・痛みの軽減
・関節拘縮予防
・筋力の強化・低下予防
・バランス能力の改善
・協調性の向上
・日常生活動作の向上・維持
・飼い主の介護負担軽減
などが挙げられ、
ペットも、飼い主も、快適な暮らしができるように活動しています。
ペットの高齢化 ペットの老老介護が大きな社会問題に?改善策はあるの? まとめ
1 ペットの現代病
狭い室内で一日の大半を過ごし、運動不足やストレスを抱える生活は人間と同じで、比率は違えど、人間とペットは同じ病気で亡くなっているのです。
2 ペットの高齢化
現代のペットを取り巻く環境は、悪い部分だけではなく、ペットの寿命も延ばしています。
犬・猫の平均寿命は年々延びており、現在では犬・猫ともに15歳以上は当たり前という状態になっています。
3 ペットの老老介護
ペットの高齢化が進む事により、高齢者の飼い主の”老老介護”の問題が浮上します。
飼い主が高齢化していれば、ペットの介護が大きな負担になってきますし、飼い主自身が高齢者施設などへ入居しなければいけない状況になれば、ペットの世話をする事自体ができなくなります。
4 ペットの老老介護への改善策は?
ペットの老老介護への対策として、ペットの高齢施設やペット可の老人ホーム、ペットへのリハビリの普及が大きくピックアップされています。
ペットは動物だといっても、飼い主からみれば大事な家族です。
高齢になり、寂しい日々を送っている方にとって、
「ずっと傍に居て癒してくれる」
他に代えられない大事な存在で、
「世話をしてあげられなくなる」
「傍に居てあげられなくなる」
という心配をするのは当たり前の事です。
それはきっと、ペットの方も同じ気持ちだと思います。
いつまでも一緒に暮らせるように、人間もペットも健康を大事にする事に加え、
「もし病気になったら」
という事態に備えて、情報収集もしっかりしておく事も大事ですね♪