障害者への虐待が、またニュースを賑わしています。
私も、仕事で出入りしている施設で虐待を目撃し、施設へ報告した事があります。
虐待は明らかにならなければエスカレートしていきますが、表沙汰になれば少しでも止める事ができます。
そのために、障害者虐待防止法という法律があります。
障害者虐待とは、どんなものでしょう?
なぜ障害者への虐待が起きるのでしょう?
障害者虐待防止法とは、どんな法律でしょうか?
目次
障害者虐待とは?
一般的に虐待とは、加害者より弱い立場の者に対して、暴力を振るったり冷淡な扱いをする事ですが、
虐待の境界線は非常に難しく、強者と弱者の関係も状況によって様々に変化します。
例えば親子関係だと、厳しく家庭内で絶対的な権力を持っていた父親が子供達に暴力をふるって虐待を行っていたとしても、
父親が歳をとり、子供達より立場が弱くなると、強者と弱者の立場が逆転し、今度は子供から父親が虐待を受けるという事もあります。
このように、強者と弱者の逆転が起こる瞬間にハッキリ線を引く事は非常に難しく、弱者が強者に対して立ち向かう形となれば、虐待として認められません。
実際に私が経験したケースだと、新しくご利用して下さる高齢者の患者さんのお宅にお邪魔して身体の診断を行っていたところ、腕に青アザができており、
ご本人に事情を伺ったら、介護している娘さんからの虐待でアザができたとの返答があったため、虐待の恐れがあると判断して、患者さんのご主人にご相談しました。
ご主人からお聞きした事実は、患者さんがオムツ交換の際に暴れて娘さんを叩こうとするため、それを避ける時に出来たアザで、
娘さんは患者さんが叩かれて、患者さんご本人より大きなアザがあちこちにあるとの事で、虐待ではありませんでした。
このような自分を守るためのウソは非常に多く、ウソをつく患者さんの気持ちはよく理解できますので、それを感じてあげれなかった我々の未熟さが悪かったケースです。
このように、虐待かどうかを判断するのは難しいのです。
障害者虐待防止法において「障害者虐待」とは、
・障害者福祉施設従事者等による障害者虐待
・使用者による障害者虐待
と、されています。
具体例としては、
障害者虐待の具体例
区分 内容 具体例 (1)身体的虐待 障害者の身体に外傷が生じ、若しくは生じるおそれのある暴行を加え、又は正当な理由なく障害者の身体を拘束すること 平手打ちにする、殴る、蹴る、叩きつける、つねる、無理やり食べ物や飲み物を口に入れる、やけどさせる、縛り付ける、閉じ込める、など (2)性的虐待 障害者にわいせつな行為をすること又は障害者にわいせつな行為をさせること 性的な行為や接触を強要する、障害者の前でわいせつな会話をする、わいせつな映像を見せる、など (3)心理的虐待 障害者に対する著しい暴言、著しく拒絶的な対応その他の障害者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと 怒鳴る、ののしる、悪口を言う、仲間に入れない、子ども扱いする、無視をする、など (4)放棄・放置 障害者を衰弱させるような著しい減食、長時間の放置、(1)~(3)に掲げる行為と同様の行為の放置等、養護を著しく怠ること 食事や水分を与えない、入浴や着替えをさせない、排泄の介助をしない、掃除をしない、病気やけがをしても受診させない、第三者による虐待を放置する、など (5)経済的虐待 障害者の財産を不当に処分することその他障害者から不当に財産上の利益を得ること 年金や賃金を渡さない、本人の同意なしに財産や預貯金を処分・運用する、日常生活に必要な金銭を渡さない、など
引用:東京都福祉保健局
などがあります。
虐待はなぜ起きるのか?
家庭内の虐待は、障害への知識不足や介護疲れのケースが多く、
家庭内で言う事を聞かない知的障害児に母親がキレたり、寝たきりの高齢者の方が日常的にワガママを言い、我慢できなくなった家族が怒るというケースはよくみかけます。
これらは、虐待にまで至るケースではありませんが、エスカレートすれば虐待に至る可能性は十分あります。
また、施設での虐待は、スタッフの学習不足・プロ意識の不足・障害者の人権への意識欠如などがあげられ、
施設側としての教育不足や、問題を隠そうとする閉鎖性が問題を大きくします。
私自身、出入りしていた高齢者施設で、たまたま虐待の現場を目撃し、施設へ報告した事がありましたが、
この時は、認知症の利用者さんに対して、スタッフのひとりがキレて暴力をふるったというケースで、施設側はそのスタッフへ注意しただけで終わってしまいました。
性的な虐待に関しては、若いスタッフの性的欲求が抑えきれない事を元凶として、性犯罪に結び付くレベルの虐待もあるようですし、
知的に障害がある若い障害者だけでなく、高齢者に対しての虐待も何度か耳にした事があります。
虐待が表に出てこないのは?
虐待があったとしても、表に出て来るケースは非常に少なく、虐待が表に出て来ない原因として、
全国社会福祉協議会の「障害者虐待防止の手引き」では、
・虐待事件の本質が利用者本人にも理解されていない。
・対応が困難な行動を抑えるのだから強い指導も必要だと、虐待の原因を問題行動に帰している。・加害者が本来保護すべき立場にある職員であること。
・公的機関(行政側)が、事件を正面から受止めきれない。行政が虐待を隠蔽する役割を担うこともある。
・親が虐待する側を守る行動をとる。背景にわが子を預ける場のない、行き場のない状況がある。
引用:全国社会福祉協議会「障害者虐待防止の手引き」
というものが挙げられています。
私が仕事上で感じているのは、
家庭にしても施設にしても閉鎖的な環境で、加害者も被害者が黙っていれば誰にも知られない状況を作る事は容易いですし、
被害者に、認知症・高次脳機能障害・知的障害などがあると、被害者本人が虐待の事実を誰にも伝えられないという問題が、表に出て来ない大きな原因になっているように思います。
障害者虐待防止法とは?
障害者虐待防止法とは、正式名称を「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」といいます。
障害者基本法にある身体障害・知的障害・精神障害を持った方への、虐待の予防と早期発見と擁護者への支援を行う法律です。
虐待の種類は、
・性的虐待
・心理的虐待
・放置
・経済的虐待
の5つの分類として、虐待の起こる場所が家庭内だけではなく福祉施設や職場にも広げて、
虐待を行う加害者として、養護者・福祉施設の職員・職場の同僚・上司等も含めています。
この法律は、虐待を発見した人に市町村や都道府県の行政に通報する義務があります。
通報を受けた行政は、
一般家庭の場合、市町村の「市町村虐待防止センター」が、被害者に生命の危機があると判断したら、家族の許可がなくても家庭内に入り調査ができる権利があり、
障害者施設などの場合は、都道府県の「都道府県権利擁護センター」が調査し、一般に公表する事ができます。
ただし、あなたが障害者への虐待を見聞きしたとしても、直接コンタクトしてはいけません。
必ず、一般家庭なら「市町村虐待防止センター」、施設なら「都道府県権利擁護センター」へ相談して下さい。
家族の場合は、虐待としつけの境界は価値観の違いもあり、プライベートに踏み込むと後々問題が大きくなる可能性もあり非常に難しいです。
私は直接、虐待の現場に遭遇した事はありませんが、障害者の方のご家族に意見を伝える場合は、自分の立場を超えないように、かなり気を使います。
また、施設の場合は、虐待を知った施設が虐待の事実を隠匿するかもしれませんし、注意した職員から報復の危険性もあります。
実際に、ある障害者施設で、ご家族が虐待を目撃し施設に訴え、施設が虐待していた職員に注意をしたところ、
その職員が自宅まで文句を言いに来たというケースを聞いた事があります。
行政が警察と協力して解決してくれますので、必ず行政へ相談して下さい。
障害者への虐待はどう止める?障害者を虐待から守る障害者虐待防止法とは? まとめ
1 障害者虐待とは?
一般的に虐待とは、加害者より弱い立場の者に対して、暴力を振るったり冷淡な扱いをする事ですが、虐待の境界線は非常に難しく、強者と弱者の関係も状況によって様々に変化します。
2 虐待はなぜ起きるのか?
家庭内の虐待は、障害への知識不足や介護疲れのケースが多く、施設での虐待は、スタッフの学習不足・プロ意識の不足・障害者の人権への意識欠如などがあげられ、施設側としての教育不足や、問題を隠そうとする閉鎖性が問題を大きくします。
3 虐待が表に出てこないのは?
私が仕事上で感じているのは、家庭にしても施設にしても閉鎖的な環境で、加害者も被害者が黙っていれば誰にも知られない状況を作る事は容易いですし、認知症・高次脳機能障害・知的障害などがあると、被害者本人が虐待の事実を誰にも伝えられないという問題が、表に出て来ない大きな原因になっていると思います。
4 障害者虐待防止法とは?
障害者基本法にある身体障害・知的障害・精神障害を持った方への、虐待の予防と早期発見と擁護者への支援を行う法律で、虐待を発見した人に市町村や都道府県の行政に通報する義務があります。
ニュースなどのメディアで取り上げられる障害者への虐待は、救急車で運ばれたり亡くなったりして事件に発展したケースしか取り上げられませんが、
業界内に居る我々には、噂レベルではあるにしても、頻繁に耳に届きます。
いじめやパワハラなどでも同じですが、強者が弱者へ身体的・精神的な圧力をかける事は絶対にあってはならない事です。
隠れた虐待を暴き出し、虐待を無くす意識は関係者だけではなく、一般の方にも持っていただけたら、虐待の撲滅に勢いがつく事は間違いありません。
この記事を見て頂いた方は、この機会に虐待に少しでも関心を持って下されば嬉しいです。
コメント
H24年11月に同法を市に申請、県を通り静岡労働局に行きました。
数個の項目の中で「地域限定職かつ主治医よりASDなので遠い転勤は避けるよう警告されていたのに、転勤と自主退職の二択の強要は同法違反。この件は労働局が直々に動く」と当時担当のN様が調査。しかし、電話で偽証され、「否定されたから事実は見つからなかった」とのこと。
次に厚生労働省の担当が強制的に地域限定職にすることは賃金が下がるので賃金不払いとのことで埼玉労働局を紹介。その際に埼玉労働局担当は静岡労働局の同法も一緒に調査をするように誘って頂きました。しかし、春日部労基署のT様は会社の3名を召喚して偽証を聞いたうえで、労基法に抵触していないと同法も違反ではないとのこと。
しかし、静岡労働局は違反と言っていたので、再度依頼。今度は犯人に犯罪をしたか聞いても偽証するので、二択の際に同席していた会社が雇っている障害者サポーターのS様に証言をしてもらい証人にすればいいと伝えました。
引き継いだA氏は動かず、厚生労働省に指導して頂き動くと約束したが、無視し続けました。
さらに引き継いだT氏がS氏の証言を聴取して証人という証拠を取ったのに、前担当が本当に同法違反と言ったのか疑問。これは違反かどうかグレーで微妙とのこと。そこで、前担当に問い合わせする約束で、何年も放置状態です。
厚生労働省、内閣、政府、政党、障害者施設、どこに通告しても無視か自分の管轄ではないとのこと。
しかし、同法を受けて違反と判断し調査して証明している以上は、最後まで動いてほしいです。
本来は労働局は結果を出して県、市に戻して市から私に結果が出て同法は終了するので終わっていません。
春日部労基署に偽証罪を訴えた所、公的証書で「静岡労働局のT氏に照会して二択はあったようだが、労基法違反でないので偽証しても偽証罪にならない」という書面が送付されました。
それで、二択は静岡労働局で証明したという証拠を役所自ら出したことになります。
それに、動いた履歴が残っていないことも不自然です。市役所には残っていました。
静岡労働局の怠惰を広めて下さい。そして、是正をさせて下さい。