沖縄で麻疹(はしか)が大流行しており、患者数がとうとう90人に達した事を琉球新報が発表しました。
さらに、愛知県でも流行が拡大しており、本日現在17人の感染者が確認されています。
そもそも、麻疹(はしか)とは、いったいどんな病気なのでしょう?
感染力はどのくらい強いのでしょうか?
麻疹(はしか)は日本中に広がるのでしょうか?
予防するにはどうすれば良いのでしょうか?
目次
麻疹(はしか)の症状は?
「麻疹:ましん」は「はしか」とも呼ばれる感染症で、
「パラミクソウイルス」の中の「麻疹ウイルス」が感染して起こる病気で、
世界保健機関(WHO)の推計では、全世界で年間約9万人が麻疹で死亡しています。
症状としては、
・倦怠感
・咳
・鼻みず
・くしゃみ
・目の充血
・眼やに
など、風邪に似た症状が出ますが、
麻疹の症状で特徴的なのは、発症してすぐに、口のなかの頬の裏側に1mm程度の小さな白色の小さな斑点(コプリック斑)が出る事です。
このコプリック斑を早めに見付ける事ができれば、本格的な症状が出る前に治療を受けられますので、麻疹の診断には大事な症状です。
症状が本格的になると、いったん熱が少し下がり(カタル期)安心していると、
そこから半日程度経過して39度以上の高熱が出て、全身に発疹が出現します。
発疹は、耳の後ろ・首・額から出始め、顔・胴体・腕に広がり、2日ほどで全身に広がります。
ここから、高熱が続き、倦怠感、咳、鼻みず、くしゃみなどの症状も強くなりますが、
3日~4日ほどで熱が下がり、7~10日ほどで症状は治まりますが、
体力が元の状態に戻るまで1ヶ月ほどかかります。
また、麻疹が発症した時は身体の免疫機能が低下するので、他の病気にかかりやすくなり、肺炎や脳炎を合併する事があります。
肺炎を合併した場合、高齢者や免疫力が落ちている病気(糖尿病など)では死に至る事も珍しくありませんし、
脳炎を合併すれば20~40%ほどの割合で後遺症が残り、致死率は15%ほどにもなります。
更に、麻疹にかかって治った後、7~10年後にも亜急性硬化性全脳炎という中枢神経疾患が発症する事もあり、精神障害や運動障害が起こる事もあります。
この亜急性硬化性全脳炎には有効な治療法が無く、障害を抱えて生きていく事になる可能性もあります。
麻疹の感染力は?
沖縄で大流行している麻疹は、台湾からの旅行客から感染して広がり、
沖縄へ旅行に行った10代男性が愛知県へ持ち帰って、愛知県の流行の感染源となっています。
麻疹は、空気感染するほど強い感染力を持っていますし(インフルエンザは空気感染しないと言われています)、
もちろん咳やくしゃみからの飛沫感染や、麻疹ウイルスが付いた手で触ったものからの接触感染もします。
麻疹を発症した1人から14~15人へ感染させるほどの恐ろしい感染力を持っています。
また、感染する期間は、発症1日前頃から発疹が出た後の4~5日まで感染しますので、
延べ6日ほどは感染可能期間があります(インフルエンザの感染可能期間は1~2日)ので、
感染可能期間が長い分、感染させるリスクが高くなります。
更に、修飾麻疹といって、麻疹の免疫は持っていても、免疫が弱い場合は感染しますが、症状が出ても軽く済む事もあり、
麻疹に感染している事に気付かず、他の人にうつしてしまう事もあります。
2016年には、外国人アーティストのライブを観るために関西空港を利用した19歳の男性たった1人から、
関西空港の従業員30人が感染し、ライブの参加者や、搬送した救急隊員、治療にあたった医師まで感染するという、
恐ろしい感染力を発揮した事例もあります。
麻疹は日本中に広がる?
麻疹は強力な感染力を持ち、症状もかなり重いというのが分かっていただけたかと思います。
これだけ感染力が強いのなら、このまま日本中に広がるのでは?と、心配ですよね?
毎年、流行するインフルエンザは症状がそんなに重くなく、発症しても動き回れますが、
感染者が動き回る事で、他の人達と接触して広がっていきます。
しかし、麻疹は症状が重い分、発症した人があまり動き回れず、
感染者との接触も少なくなり、大規模な感染には繋がりにくいと言われています。
沖縄と愛知での流行が、すぐに日本中に飛び火する可能性は低いと考えても良いでしょうが、
沖縄や愛知に出入りされる方は注意が必要です。
ただ、2016年の関西空港のケースのように、思わぬところで麻疹の感染者と接触して、感染するかわかりませんので、
予防する意識だけでも持っておいた方が良いと思います。
麻疹の感染予防は?
感染予防としては、インフルエンザの予防のように、
・マスクの着用
・手洗い
・うがい
などが挙げられますが、
ただ麻疹に関しては、これらの感染予防は「まあ無駄じゃない・・・」程度です。
麻疹ウイルスは、空気中をただよえるほど強いウイルスですし、大きさが100~250ナノメートルと小さいため、マスクでは防ぎきれません。
また、感染力があまりにも強く、手洗い・うがいでも防ぎきれません。
麻疹を予防するには、ワクチンの予防接種が最も確実です。
麻疹は「一度かかれば免疫ができるから、もう一生かからない」とよく言われますので、子供の頃に予防接種を受けた方は、
「予防接種はしなくても大丈夫!」
と、安心されているかもしれません。
しかし、麻疹の免疫は、人によって異なりますが、数年~十数年で弱くなると言われています。
実際に私も、生後数か月の頃に麻疹にかかったのですが、20代前半で二度目の麻疹を発症して、40度前後の熱が1週間続き入院しました。
「子供の頃に麻疹の予防接種を受けたから大丈夫」と思っている方は、気を付けた方が良いです。
さらに、昭和52年以前は、予防接種は任意でしたので、受けていない方もいらっしゃるはずですし、
平成5年から平成18年4月までは、予防接種が中止されていた事もあり、
昭和54年4月2日~昭和62年10月1日生まれの方も、予防接種を受けていない可能性もありますので、
麻疹を予防したければ、ワクチンの予防接種を受けておくと安心です。
特に、
・乳幼児
・高齢者(65歳以上)
・慢性肺疾患の人(喘息、慢性気管支炎、肺結核など)
・心臓に病気を持つ方
・腎臓に病気を持つ方
・糖尿病など代謝異常のある方
・免疫不全状態の方
・アルコール依存症の方
などの方は、感染しやすく重症化する可能性が高いですので、注意が必要です。
妊産婦の方も免疫力が低下していますので感染しやすくなっていますが、
妊娠中に麻疹の予防接種を受けると、
・重症化しやすい
・流産や早産、死産を起こす
可能性があり、妊娠後は予防接種が受けられませんので、妊娠している方は、感染しないよう細心の注意が必要です。
麻疹の予防接種は、大人でも受けられますので、かかりつけ医やお近くの内科で相談してみて下さい。
麻疹が沖縄で大流行 愛知でも流行の兆し?!麻疹の流行は日本中に広がる?予防はできる? まとめ
1 麻疹(はしか)の症状は?
症状としては、
・39度以上の熱
・倦怠感
・咳
・鼻みず
・くしゃみ
・目の充血
・眼やに
など、風邪に似た症状が出ますが、麻疹の症状で特徴的なのは、発症してすぐに、口のなかの頬の裏側に1mm程度の小さな白色の小さな斑点(コプリック斑)が出る事です。
麻疹が発症した時は身体の免疫機能が低下するので、他の病気にかかりやすくなり、肺炎や脳炎を合併する事があります。
2 麻疹の感染力は?
麻疹は、空気感染するほど強い感染力を持っていますし(インフルエンザは空気感染しないと言われています)、咳やくしゃみからの飛沫感染や、麻疹ウイルスが付いた手で触ったものからの接触感染もします。
麻疹を発症した1人から14~15人へ感染させるほどの恐ろしい感染力を持っています。
3 麻疹は日本中に広がる?
麻疹は症状が重い分、発症した人があまり動き回れず、感染者との接触も少なくなり、大規模な感染には繋がりにくいと言われています。
沖縄と愛知での流行が、すぐに日本中に飛び火する可能性は低いと考えても良いでしょうが、沖縄や愛知に出入りされる方は注意が必要です。
4 麻疹の感染予防は?
感染力があまりにも強く、マスクの着用・手洗い・うがいでも防ぎきれません。
麻疹を予防するには、ワクチンの予防接種が最も確実です。
特に、
・学生時代に予防接種を受けてから十数年以上経っている方
・乳幼児
・高齢者(65歳以上)
・慢性肺疾患の人(喘息、慢性気管支炎、肺結核など)
・心臓に病気を持つ方
・腎臓に病気を持つ方
・糖尿病など代謝異常のある方
・免疫不全状態の方
・アルコール依存症の方
などの方は、感染しやすく重症化する可能性が高いですので、注意が必要です。
麻疹は、感染者に接触しなければ、そんなに心配しなくても大丈夫ですが、
麻疹にかかった家族の看病をしていて感染するケースもあります。
身近な家族や知人で、沖縄や愛知に行った後に体調不良を訴える方がいらっしゃたら、
急いで病院受診をすすめて下さい。
皆さんの「他人に感染させない」という意識が、感染を拡大させない一番の予防策になります!