毎月のように、高齢者ドライバーの重大な事故がニュースで報道されています。
実際に高齢者ドライバーの方々と日々関わっている私達は、ニュースで報道された事故を高齢者ドライバーの皆さんにお伝えして注意を促させて頂いています。
今回は、事故へのご意見を高齢者ドライバーの方々にお聞きしてみましたが…
そこで出てきたご意見の中に、高齢者ドライバーの危険性が潜んでいました。
目次
2019年ニュースになった高齢者ドライバーによる事故
82歳女性が運転するワゴン車が薬局に突っ込んだが、薬局は営業しておらず、けが人などはいなかった。
原因は不明。
ご本人は車の調子が悪かったと話している。
原因は、ブレーキとアクセルの踏み間違い。
78歳男性が74歳女性を軽トラックでひき逃げする。原因は安全不確認。
逮捕された男性は「免許がなくなってしまうと思って逃げた」と話していた。
87歳男性が運転する乗用車が赤信号を無視して暴走し、通行人を次々とはね、母子2人が死亡し男女10人が重軽傷。
原因は焦りによる操作ミス。
65歳男性が運転する乗用車が、公園の砂場で遊んでいた保育園児に突っ込み、園児をかばった保育士が足の骨を折る大怪我を負った。
原因は、アクセルとブレーキの踏み間違い。
80歳男性が運転する乗用車が、スーパーの駐車場で後ろ向きに停車スペースに入ろうとして、駐輪場に突っ込み、子供2人を含む歩行者4人をはねる。
原因は、アクセルとブレーキを踏み間違い。
81歳男性が運転するワゴン車が、対向車線にはみ出し約700メートル暴走して車5台と衝突。ワゴン車に乗っていた夫婦は死亡。歩行者を含む7人がケガ。
原因は不明。
80代男性の運転する乗用車が車を駐車場に停めようとしたところ、車止めを乗り越えて70代女性をはねる。はねられた女性は死亡。
原因は、アクセルとブレーキの踏み間違い。
70歳男性の運転する乗用車が、小学校に突っ込み花壇に乗り上げてしまう。 ケガ人は無し。
原因は、アクセルとブレーキの踏み間違い。
86歳の女性が運転する車が、道路から約10メートル下に転落し、運転していた女性が亡くなった。
原因は不明。
81歳の男性が運転する乗用車が国道脇の交通標識の支柱に衝突。
男性は病院に運ばれたが、胸などを強く打ち重傷を負う。
男性のほかにけが人はいなかった。
原因は不明。
69歳の女性が運転する車が、公園に向かう園児17人と保育士2人の列に突っ込み、園児が車の下敷きになった。
5歳と6歳の女児が重軽傷を負ったが、命に別状なかった。
原因は安全不確認(ブレーキを踏んだ痕跡はなかった)。
男子高生は負傷し、警察は無免許過失運転傷害の疑いで男を現行犯逮捕。
80歳男性は4月に免許を返納していたが、ゴルフ大会に行くため運転した。
原因は不明。
このように、2019年前半だけでも毎月のように高齢者ドライバーによる重大事故がニュースで報道されています。
ニュースで報道された事故について高齢者の方々に意見を聞いてみると・・・
これらの高齢者ドライバーの事故のニュース報道を、現在もハンドルを握っていらっしゃる高齢者ドライバーの方々にお聞かせすると、様々なご意見が返ってきましたが…
これらのご意見の中に高齢者が事故を起こす危険性が潜んでいました。
若い奴らの事故の方がよっぽど多いのに、年寄りの事故だけを大きく取り上げるのには納得いかんな。
そもそも事故を起こす人達は、体が悪かったり呆けてたりしてるんじゃないの?
俺のような元気な年寄りも居るんだから、一緒にされちゃ敵わんな。
私は、最近事故を起こして家族に免許返納を薦められているから、次の免許更新の時には更新しないつもり。
更新まであと2年あるけど、気を付けて安全運転するから大丈夫だよ。
私は免許を取ってからずっと無事故無違反で、今もゴールド免許なのよ!
今さら事故なんて起こすわけ無いじゃない。
急な仕事で早朝や夜中に呼び出される事があるので、事故を起こすんじゃないかと心配でたまりません。
俺達が車を取り上げられたら、買い物や病院はどうすればいいんですか?
役所はバスを安くするとか、タクシー券をあげるだとか言ってくれるけど、バス停まで遠いし、タクシー券も2・3回乗れるほどしかくれないし・・・
子育て支援なんかやってないで、もっと高齢者の事を考えて欲しい。
老人は免許を返納しろって騒いでるよな。
この間もテレビで杉良太郎が免許を返納したってやってたけど、どうせあの人達は運転手付きの車で移動してるんだろ?
あんなのに騙されるわけないだろ。
最近の高齢者の事故のニュースを見ると、確かに危ないと思うから運転が怖くなったね。病院に行く時以外は運転しないようにしてるよ。
高齢者ドライバーの意見の中に潜む危険性とは?
実際に高齢者ドライバーの方々にご意見を伺うと、その中に高齢者ドライバーが抱えている
・自動車を使わなければ生活に困る
・運転に対する自信
・運転技術や能力に対する過信
という3つの危険性が潜んでいました。
高齢者でも生活していくために買い物をしなければいけませんし、高齢者だからこそ病院などへ頻繁に行く必要があります。
近くにスーパーなど買い物ができる場所や病院が無いような、郊外にお住まいの高齢者の方々はもちろんですが、
都市部にお住まいの高齢者の方々も買い物や病院へ行くのに、車が無いと電車やバスなど公共交通機関を使わなければいけません。
しかし、高齢になると歩くのが大変になりますので、駅の構内やバス停まで歩くのが辛くなります。
また、お仕事を持っていらっしゃる方も、通勤や仕事で車を必要になります。
これら、車が無いと困ってしまう環境が運転を止められない要素になっているのです。
高齢者ドライバーの皆さんは、運転免許を取得してから数十年も運転を続けておられ、
無事故無違反の表彰を受けている方やゴールド免許をお持ちの方々がたくさんいらっしゃいます。
「何十年も運転してきて事故をした事が無いのに、今さら事故を起こす訳がない」
と思っていらっしゃる方が非常に多いです。
このような運転に対する自信が、運転を止める必要性を感じない要素になっています。
年齢を重ねると、生物である以上どうしても身体能力や認知能力が衰えてしまいます。
もちろん個人差はありますが、若い頃の能力のままという訳にはいきません。
高齢者ドライバーの方のご意見としてよく聞くのが、
「安全運転しているから」
という言葉ですが、安全運転していても突然の出来事に対する身体の反応や瞬間的に判断する能力が落ちていれば事故に繋がる確率は高くなります。
ご自分がもう安全に運転できる身体や脳じゃない事を自覚できない事が事故に対する危険性を高くしています。
関連記事
https://smile-everyone.com/koureisha/koutuujikogenin-karadayanouniokorukoto
まとめ
高齢者の方々と日々向き合っている私達は、高齢者の方々が運転を止められない事情もよく解っていますし、
まだまだ安全に運転できる能力を持っていらっしゃる高齢者の方々もたくさんいらっしゃいますので、
年齢で一括りにした免許返納の案には賛成できません。
しかし、明らかに運転が危ない高齢者の方がいらっしゃるのも事実です。
高齢者ドライバーの事故を防ぐために、国や自治体や関連企業の努力は必須ですが、
高齢者の方々も自分の能力を過信せず危険に対する自覚を持つのも大事な事です。
まだ運転しても大丈夫かどうか?
各都道府県公安委員会や各都道府県公安委員会から業務委託されている、指定自動車教習所等で高齢者講習及び認知機能検査を受けることができますので、
一度はぜひ高齢者講習を受けてみる事をお勧めします。
一般社団法人 全日本指定自動車教習所協会連合会 高齢運転者支援サイト