障害者へのハラスメントはなぜ起きる?現場で聞いた障害者の声から考えていきます!

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セクハラやパワハラなど、ハラスメント被害の報道が毎日のようにテレビで流れています。

仕事上、障害者の方々からご相談を受ける事が多いのですが、

障害者として「ハラスメントを受けた」というご相談も非常に多いです。

ハラスメントとは、いったいどんなものでしょう?

なぜ、ハラスメントが起こるのでしょうか?

障害者へのハラスメントとは、どんなものがあるのでしょうか?

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ハラスメントとは?

ハラスメントとは、他者に対する言動や行動で

  • 他者を不快にさせる
  • 他者の尊厳を傷つける
  • 他者に不利益を与える
  • 他者に脅威を感じさせる

などの事を言います。

セクハラやパワハラは、よく聞かれるかと思いますが、その他にも

  • モラハラ(モラルハラスメント)
  • アルハラ(アルコールハラスメント)
  • ジェンハラ(ジェンダーハラスメント)
  • ドクハラ(ドクターハラスメント)
  • カラハラ(カラオケハラスメント)

など、ネットで検索しただけでも32~42種類もあります。

なぜハラスメントが起こる?

ハラスメントとして重要なのは、

ハラスメントとなる言動や行動をした本人の意図は関係なく、

受けた側が感じたものが全てだという事です。

例え、ハラスメントをした側がいくら「良かれ」と思ってとった言動や行動でも、

された側にとって「迷惑」であればハラスメントになります。

これは、いくら「良かれ」と思う言動や行動でも、

あくまでも自分の価値観であって、

自分本位の「良かれ」であるという認識ができていない事が原因です。

悪意の有無に関わらず、

自分本位の言動や行動が相手を傷つけてしまう事が、

ハラスメントに繋がっていると考えられます。

「傷つける」側が「傷つけられる」側の事を理解していれば、ハラスメントは起きないでしょう。


障害者へのハラスメントの多くは、「障害」というものを理解していない事でおこります。

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障害者へのハラスメントとは?

障害者へのハラスメントは、様々な場面でおきています。

私が現場で実際に聞いた話だけでも、以下のようなハラスメントがありました。

欲しいものがあるという話をしたら「皆に生かしてもらっている障害者のくせに贅沢を言うな」と言われた。

この方は、障害者年金で生活していらっしゃる方でした。

これは、「障害者は税金だけで生活している」という勘違いから起こったケースです。

障害者年金という制度を理解していれば、こんな言葉が出るはずはありません。

作業所で、できない事を押し付けられて断ると「他の人はやってるけど?」と言われた。

この方は、聴覚障害の方ですが身体障害もあり、手話や点字の読解ができない方でした。

障害によって、出来る事と出来ない事はそれぞれ変わります。

障害の症状を理解して、個人々の能力や動作を理解していれば、出て来ない言動です。

医者から「指示を守らないのなら他の病院へ行け」と言われた。

この方は、難病で足が不自由な方でした。

疾患的にも移動手段としても、障害者が他の病院に変える事が困難だという事を理解していない事が原因だと思います。

患者に対する脅しとして「気に入らないのなら他の病院へどうぞ」と言われる、「ドクターハラスメント」というハラスメントがあるようですが、

障害者を守る事も仕事のはずの医師が、脅しとして使っているはずがないと思いたいです。

通所のスタッフにパソコンの操作方法を聞いたら「こんな操作もわからないんならパソコンは止めた方がいい」と言われた。

この方は手が不自由で、文字が書けない代わりにパソコンで文書を作れるようになろうと頑張っている方でした。

身体的にも目標としても、この方が「なぜパソコンを必要としているのか?」を理解していれば、こんな発言をする事はなかったはずです。

施設の若い介護職員に「もういい歳なんですからこれくらい自分で考えて下さい」と言われた。

この方は、ADHD(注意欠如・多動症)という、

自分の事を管理するのが苦手な発達障害を持った方でした。

「こんな歳なのに…」という、エイジハラスメントというものがあるようですが、このケースは明らかに発達障害への理解が足りない事で出た言動です。

介護スタッフに「食べ方が汚い」「食べこぼしをするな」といつも言われる。

 この方は、高次脳機能障害で半側空間無視という、視覚的に片側が認識しにくい障害を持った方でした。

視覚的に片側が認識しにくいと、食事の時でも皿の半分が認識できず、どうしても食べこぼしが多くなります。

介護のプロとして、疾患としての理解があれば、食べやすいように介助するのが当たり前です。

自宅でヘルパーさんが、「暑いから」と勝手にエアコンの温度を下げられて寒かった。

 この方は、体温などを調整する自律神経に障害がある方でした。

ヘルパーさんも良かれと思って行った行動でしょうが、

自律神経障害という症状への理解が足りず、結局は障害者の方に寒い思いをさせてしまったようです。

結婚が夢だと話したら「結婚できるの?」と言われた。

この方は、身体の障害で家事ができない女性の方でした。

結婚というものは「女性が家事をするもの」という狭い認識で、セクハラに加えモラハラも含まれる言動です。

この方は、この数年後に結婚して幸せに暮らしていらっしゃいます。

入浴介助してもらう時に「臭い」と嫌な顔をされた。

 この方は、身体的な障害で、介護サービスの提供上、週に2回しか入浴できない方でした。

ご本人も、毎日入浴したいのに入浴できない事を気にしていらっしゃた上でのハラスメントでした。

発言した方が、

自分ではお風呂に入りたくても入れず、それを苦しんでいる気持ちを自分自身に置き換えて理解していれば、こんな発言はできなかったはずです。

介助時に触らなくてもよいところを触られた。

身体が自由に動かせない事をいいことに「セクハラをされた」というケースはよく聞きます。

入浴介助時に陰部を素手で触られたり、清拭の際に身体を必要以上に見られるという悪質なケースもあり、

対処すべく実際にある施設で抗議行動を起こした事もあります。

これは、障害に対する理解以前の問題で、人間として卑劣な行為でしかありません。

障害者へのハラスメントはなぜ起きる?現場で聞いた障害者の声から考えていきます! まとめ

まとめ

1 ハラスメントとは?
ハラスメントとは、他者に対する言動や行動で、不快にさせる・尊厳を傷つける・不利益を与える・脅威を感じさせる、などの事を言います。

2 なぜハラスメントが起こる?
悪意の有無に関わらず、自分本位の言動や行動が相手を傷つけてしまう事がハラスメントに繋がっていると考えられます。
障害者へのハラスメントの多くは、「障害」というものを理解していない事でおこります。

3 障害者へのハラスメントとは?
障害者へのハラスメントは、様々な場面でおきています。私が現場で実際に聞いた話だけでも、様々なハラスメントがありました。
※詳細は本文をご参照下さい。

故意に相手を傷つける事を目的とする言動や行動は、ただの「暴力」ですので論外ですが、

傷つける側は何とも思っていなくても、

傷つけられる側にとっては、心に深い傷を負わせるような言動や行動になる事は多々あります。

傷つける側にとっては「善意」でも、傷つけられる側にとっては「悪意」でしかない事もよくあります。

皆が自己中心的な思考を抑え、相手の事を理解した言動や行動が取れれば「ハラスメント」という言葉すら必要なくなるはずだと思っています。

7/19【追記】

この記事に、

「障害者が健常者にハラスメントしてるのが返ってきてるだけでしょ。障害者とその周りはホント自己中だね」

と、コメントをいただきました。

「これぞハラスメント!」と言えるようなコメントですが、

様々なご意見があるのが当然ですし、

コメントの内容と「健常者」というワードを使っていらっしゃるので、

きっと、お仕事などで普段から障害者とお付き合いのある方で、

障害者との関係に苦労されている方だと思います。

ご心労をお察し致します。

それなのに、わざわざ検索して訪れて来て下さり、コメントまで残して下さった事に感謝です!

ネットで、障害者駐車場の廃止を訴える方々のご意見を拝見した事もありますが、

こういったご意見を持っていらっしゃる方に、少しでも障害者の方々の事をご理解いただきたくて活動しています。

否定的なご意見と言えど、障害者の方々の事を気に留めていただいただけで、

この記事を書いた意味があり、

この活動を続けていく上で、大変大きなエネルギーをいただきました!

本当にありがとうございました!

ただ、元々障害者に否定的なご意見を持たれていて、否定的なご意見を公言していらっしゃった方が、

ケガやご病気で、ご自身が障害者になり、

否定的なご意見を公言していた事が仇になって差別を受け、

辛い思いをされている方に何人もお会いしてきました。

そんな事にならないように、ケガや病気には十分お気をつけ下さいね!

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