手足口病は、夏場になると発生し、6月~7月頃にピークを迎えます。
数年おきに大流行しますが、
記憶に新しいところでは、昨年に国立感染症研究所が、例年の7倍の患者数が出ている事を発表しました。
この手足口病とは、どんな病気でしょう?
なぜ高齢者はうつりやすいのでしょうか?
手足口病には治療薬が無いって本当でしょうか?
目次
手足口病とは?
手足口病は、ウイルスの感染で手足や口の周りに水ぶくれのうような発疹が出る感染性の病気です。
出展:Flickr
原因となるのは、「コクサッキーウイルス」や「エンテロウイルス」などに関連した数種類の※1ウイルスで、
主に鼻水・タン・大便などの感染からうつりますが、咳やくしゃみなどで飛んだ唾液の飛沫でもうつります。
※1 ウイルス
ウイルスとは、タンパク質の殻に遺伝子が入っているだけの単純な構造の微生物です。
手足口病のウイルスとして代表的なものに
・コクサッキーウイルス
・エンテロウイルス
があります。
細菌は水と栄養があれば自分で増殖できますが、ウイルスは自分では増殖できないため、他の生き物の細胞の中に入って増殖しようとします。
ウイルスは増殖するために生物の細胞に感染し、それに免疫が反応して熱・咳・タン・鼻水などの症状を出します。
手足口病は、※2乳幼児に多いのはよく知られていますが、大人にも感染して症状が出ます。
※2 乳幼児に多い
乳幼児に多いのは、
・幼稚園や保育園などで乳幼児同士の接触が多い
子供ひとりが感染すると他の子供にも接触感染しやすい。
・病気に対して知識も意識もまだ低い
感染している子供が居ても接触を避けるような行動を取らない
という事が原因だと言われています。
更に、まだウイルスに感染した経験が少なく、免疫も少ないので症状が出やすい傾向があります。
手足口病の症状としては、
まず初期症状として、発熱やノドの痛みなど、風邪のような症状が出ます。
1~2日後には、
・手の平
・足の裏
・膝の裏
・内股
・お尻
などに水泡ができて痛みや痒みが出ます。
これらの症状が7日~10日ほど続き、普通は自然に治ります。
しかし、感染したウイルスがコクサッキーウイルスA16という型だった場合、心筋炎という心臓の病気が合併した報告がありますし、
エンテロウイルス71というウイルスに感染した場合は、まれに急性脳炎をおこし命に関わる危険性もありますので、
子供の病気だからといって甘くみてはいけません。
なぜ高齢者にうつりやすい?
高齢者になると、身体を守る機能である※3免疫力が下がりますので、ウイルスなどでの感染症にうつりやすくなります。
※3 免疫力
免疫力は、身体の外から侵入してきたウイルス・細菌・花粉などの異物や、体内で発生するガン細胞などを撃退しようとする身体の防衛機能です。
出展:life info
免疫の働きは、
・異物を見付ける
・異物に印をつける
・異物を捕まえる
・異物を壊す
・異物を食べる
など、それぞれの免疫細胞やたんぱく質が複雑に働いて身体を守っています。
発熱・咳・鼻水・タンなどは、
・発熱:身体の熱を上げて異物を撃退する細胞を働きやすくする。
・咳:身体の中に入って来ようとする異物を外に出そうとする。
・鼻水、タン:身体の中に入ってきた異物を粘液で包み込んで外に出そうとする。
という免疫としての働きをそれぞれ持っています。
更に、高齢になると※4免疫力の低下で発熱などの初期症状が出にくく、発見が遅れるため重症化しやすくなり、感染してしまうと命に関わる危険性が高くなります。
※4 免疫力の低下
高齢になると、加齢により身体が弱るのと同じで、免疫それぞれの働きも弱くなります。
免疫力が弱くなる事で、ウイルスなどの異物を撃退する能力も弱くなり、感染しやすくなります。
更に、免疫力として、ウイルスなどの異物を外に出したり、撃退する細胞を働きやすくする力も弱くなるので、
ウイルスに感染しても、発熱・咳・鼻水・タンなどの症状が出にくく、気付くのが遅くなり重症化するリスクが高くなります。
ちなみに、免疫力が激しく反応する事で起こるアレルギーは、免疫力が弱くなっている高齢者になってから初めて出る方は少ないです。
また、寝たきりになっている高齢者の方は、おむつ交換で便が介護者に付着してウイルスを広げる事もあり、
実際に、高齢者施設で手足口病が広がった事例もあります。
手足口病には治療薬が無い?
手足口病には、治療薬が無いため根本的に治す事はできません。
症状として出る発熱・ノドの痛み・水泡などを※5薬で緩和するしかありません。
※5 薬で緩和する
発熱・ノドの痛み
手足口病の発熱や痛みには、解熱鎮痛剤が使われます。
手足口病の代表的な解熱鎮痛剤はアセトアミノフェンです。
水泡・痒み
手足口病の水泡や痒みの原因は、体内で作られているヒスタミンという物質が関わっていますので、ヒスタミンの作用を抑える抗ヒスタミン薬が薬として使われます。
薬の使用は、体質や他に飲んでいる薬で作用が変わります。
市販薬なら薬剤師、病院を受診するならドクターに必ず相談して下さい。
手足口病を予防するには?
手足口病には、※6ワクチンがありませんので、予防接種で防ぐ事はできません。
※6 ワクチン
生物にウイルスなどの異物が身体の中に入ってくると、異物に対する抵抗力を持った「抗体」という仕組みを作ります。
この抗体を身体に作らせるために、毒性を弱くした異物を身体にあえて入れるのがワクチンです。
例えば、インフルエンザの予防接種は、毒性を弱くしたインフルエンザウイルスを注射する事で、体内にインフルエンザの抗体を作らせて、
本物のインフルエンザウイルスが体内に入ってきた時に、身体がすぐ対応できるようにするワクチンです。
手足口病のワクチンは、国内ではまだ開発されていませんが、中国や台湾などで開発中です。
ですので、手足口病の有効な予防策は、
・手洗い
・うがい
・感染しそうなものを触らない
・症状が出ている人に近づかない
など、一般的な感染症への予防策しかありません。
更に、
・感染しても症状が出ない
・症状は出たが治った
など、
どちらの場合も、ある程度の期間は、まだ大便と一緒にウイルスが排出されますので、
身近に感染した人が居たら、気を抜かないようにする事が大事です。
手足口病は高齢者にもうつる?治療薬が無いって本当? まとめ
1 手足口病とは?
手足口病は、ウイルスの感染で手足や口の周りに水ぶくれのうような発疹が出る感染性の病気です。
手足口病は、2乳幼児に多いのはよく知られていますが、大人にも感染して症状が出ます。
2 なぜ高齢者にうつりやすい?
高齢者になると、身体を守る機能である※3免疫力が下がりますので、ウイルスなどでの感染症にうつりやすくなります。
3 手足口病には治療薬が無い?
手足口病には、治療薬が無いため根本的に治す事はできません。
症状として出る発熱・ノドの痛み・水泡などを薬で緩和するしかありません。
4 手足口病を予防するには?
手足口病には、ワクチンがありませんので、予防接種で防ぐ事はできません。
手足口病の有効な予防策は、
・手洗い・うがい・感染しそうなものを触らない・症状が出ている人に近づかない
など、一般的な感染症への予防策しかありません。
一般的に、高齢者になると身体の機能が全体的に落ちてしまいます。
身体の機能が落ちれば、病気にもかかりやすくなります。
どうしても加齢にはなかなか勝てませんが、身体の機能を落とさないようにするためには、
・規則正しい生活
・バランスの取れた食事
・運動習慣
が大事です。
病気で辛い思いをする前に、頑張りましょう♪