千葉、群馬、大阪と大きな地震が続いています。
大阪では、死者5名のうち1名が65歳以上、3名が80歳以上の高齢者でした。
地震などの災害時には、どうやって高齢者を守れば良いのでしょうか?
今回は、地震などの災害時に高齢者を守る手順まで、ご紹介いたします。
目次
高齢者は地震で、被害にあいやすい?
18日朝の大阪での地震の被害者は、5名のうち4名が高齢者で、
大阪市東淀川区では80歳男性が、民家のブロック塀の下敷きになり、
茨木市では85歳男性が、倒れた本棚に挟まれ、
高槻市では81歳女性が、倒れたタンスに挟まれ、
同じく高槻市で66歳男性が、衣類・本・CDに埋もれ、
それぞれ亡くなっています。
東日本大震災で、被害が大きかった岩手県、宮城県、福島県の3県で収容された死亡者数は1万5,786人にのぼりましたが、
このうち、60歳以上の死亡者数は1万85人で、亡くなった方々の約65%が高齢者でした。
さらに、地震などの災害として直接的な被害からは逃れても、過酷な環境にある避難所でのダメージも高齢者には大きなもので、
震災後の避難生活での肉体的、精神的な疲労や持病の悪化による「震災関連死」は、1,632人にのぼり、66歳以上の高齢者がその9割近くを占めています。
なぜ地震などの災害時には高齢者の被害が多いのか?
地震などの災害時に、高齢者の被害が多い原因は、
- 身体機能の低下
- 認知機能の低下
- 内臓機能の低下
- 情報収集能力の低下
という点が挙げられます。
身体機能の低下
高齢になると、加齢により筋力・バランス・瞬発力など、身体の機能が全体的に低下します。
若者ならタンスなどが倒れてきても、とっさに避けられますが、
高齢者になると避けきれず下敷きになってしまいますし、
屋外へ逃げようと思っていても、逃げるのが遅れて被害に合ってしまいます。
また、地震などの災害で荒れた路面や、水が溢れた場所では動けなくなる事もあり、緩い水流でも流されるケースも多くあります。
認知機能の低下
若者であれば、危険を察知した時点で、どう危険を避ければ良いかとっさに判断できますが、
高齢になると、認知機能が低下しているため、危険を察知するのが遅れますし、危険を避ける判断も遅れてしまいます。
また、避難などの情報を得られても、認知機能が低下していると自分で避難できないため、災害に巻き込まれる可能性が高くなります。
さらに、落ち着いている時は判断できる事でも、非常時には興奮してパニックになり、
判断できなくなったり、誤認識してしまう事もありますので、
普段はできている事でも、できなくなる事が出て来る事を認識しておいて下さい。
内臓機能の低下
地震で、何かの下敷きになったり、生き埋めになった時に、健康な若者であれば数日間は持ちこたえられますが、
高齢になると、心肺機能などの内臓機能が低下していますので、
生存できる時間が短くなり、助かる確率が低くなってしまいます。
また、内臓機能の低下は免疫力の低下や環境へ適応する能力も低下しますので、
避難した先で、風邪をひいて肺炎になったり、持病が悪化する可能性が高くなる事も考えておく必要があります。
情報収集能力の低下
地震などの災害が起こった時は、安全を確保するための避難場所が各地域で設定されていて、地域で情報を共有しているはずです。
高齢者になると子供さんと代替わりし、地域の中での交流が少なくなるため情報を得る機会が少なくなり、
地震などの災害時にどう動くかの情報が入らなくなってしまいます。
また、高齢者はスマホなどの機器を使いこなせないため、
地震などの情報を得るのが遅くなる事も被害を大きくする原因です。
地震などの災害が起こったとき高齢者を守るには?
地震などの災害時に、高齢者を守るには、
②倒れて来るものや落下物から守る
③安全を確認した上で屋外に出る
④安全な場所へ避難する
⑤生活しやすい場所の確保
という手順で行動して下さい。
①声掛けをして安否確認
地震などの災害が起こったら、まず高齢者に声をかけて安否確認をして下さい。
安否確認をして無事なら②へ進めていただければ良いですが、
もし、返事が無かったとしたら、何らかの事故が起こっている可能性がありますので、速やかに状況を確認して下さい。
ただし、ここで注意しなければいけないのは、
自分で解決できないと思ったら、すぐに警察か消防署へ連絡して指示を仰いで下さい。
間違った対応をすると、ご本人の命だけじゃなく被害者を増やす事になりますので、自己判断をしない事が非常に大事です。
②倒れて来るものや落下物から守る
地震でタンスや本棚などの下敷きにならないよう、
また電灯や棚の上の物が落ちてきてケガをしないように、
物が倒れて来ない・落下物が無い安全な場所へ移動させるか、
丈夫な机の下などに移動させます。
高齢者が自分で歩ける方なら指示や誘導でも良いですが、
歩けない方の場合は、布団や毛布の乗せて抱えて運んで下さい。
高齢者は体温を保つ能力が低下していますので、板やコンクリートの上では夏場の暑い時でも体温を奪われてしまいますし、
避難所へ避難してからも、布団や毛布があるとは限りませんので、その準備にもなります。
そこで状況を見つつ、その場に待機するか屋外に出るか判断します。
③安全を確認した上で屋外に出る
家屋の倒壊などの危険性がある場合は屋外に避難しますが、
移動中に割れたガラスなどで足をケガする危険性もありますので、
必ずその場で靴やスリッパを履いてから屋外へ移動するようにして下さい。
自分で歩けない方も足を保護するため、抱えて運ぶ時でも靴やスリッパは履かせてあげて下さい。
屋外へ出た時も、塀などが倒れて来る事や瓦などが落下してくる危険性も考えて、待機する場所を選びます。
よく自動車の中が安全だと言われますが、
車体が歪み、閉じ込められる危険性、
ガソリンという危険物を積んでいる事、
水害があった時に沈んでしまう事などのリスクがある事も頭に入れておきましょう。
④安全な場所へ避難する
高齢者は認知機能が低下していて、避難場所がわからない可能性がある事を考えて、
避難場所へ移動するよう声をかけるだけではなく、避難場所まで誘導してあげて下さい。
また、身体能力が低下しているため、長い距離は歩けない事や、
歩く速度が遅く避難が間に合わない可能性を理解して、
背負ってでも避難場所まで連れていってあげて下さい。
⑤生活しやすい場所の確保
高齢になると、歩行能力も低下しますし、おしっこが近くなりますので、
避難した場所では、通路に荷物がたくさんあって歩きにくい場所などを避けて、トイレには近い場所を確保してあげて下さい。
また、体温の調節や免疫力も低下していますので、
風邪をひいたり、病気が悪化する可能性があります。
冬場は寒い場所、夏場は風通しの悪い場所を避けてあげて下さい。
地震などの災害が起こる前に準備しておく事
地震などの災害が起こる前に、
- 普段から高齢者とコミュニケーションを取っておく事
- 地域で独居老人の一覧などを作っておいて把握しておく事
- 自治会が協力して、災害時のシュミレーションを行っておく事
などが大事です。
できれば、普段は歩ける高齢者の方でも、災害時の移動用に車椅子を準備しておいた方が安心です。
我々は仕事柄、施設の避難訓練に参加して、地震などの災害時に自分に何が出来るかを常に確認していますが、
それでも実際に火災などが起こるとパニックになり、想定していた行動と違う事をやってしまい混乱してしまいます。
ましてや、一般の方は地震などの災害時に何をすれば良いのか分からないでしょうし、
実際の災害時にはパニックになり、頭で思っているだけの行動は、ほぼできないと思っておいた方が良いです。
ご近所に、家族の居ない独居の高齢者が居らっしゃる場合は、普段から地震などの災害時にはどうするかを、
高齢者ご本人とよく話し合い、絵や図を使って壁に貼り付けておいて情報共有するなど、
もしパニックになっても手順通りに動けるよう、準備をしておく事をおすすめします。
地震が起こったとき高齢者を守るには?災害時に高齢者を守る手順とは? まとめ
1 高齢者は地震で、被害にあいやすい?
18日朝の大阪での地震の被害者は、5名のうち4名が高齢者で、東日本大震災では亡くなった方々の約65%が高齢者でした。
「震災関連死」は、1,632人にのぼり、66歳以上の高齢者がその9割近くを占めています。
2 なぜ地震などの災害時には高齢者の被害が多いのか?
地震などの災害時に、高齢者の被害が多いのは、身体機能の低下・認知機能の低下・内臓機能の低下・情報収集能力の低下
という点が挙げられます。
3 地震が起こったとき高齢者を守るには?
地震などの災害時に、高齢者を守るには、
①声掛けをして安否確認
②倒れて来るものや落下物から守る
③安全を確認した上で屋外に出る
④安全な場所へ避難する
⑤生活しやすい場所の確保
という手順で行動して下さい。
4 地震などの災害が起こる前に準備しておく事
実際の災害時にはパニックになり、頭で思っているだけの行動はほぼできないと思っておき、もしパニックになっても手順通りに動けるよう、準備をしておく事をおすすめします。
地震などの災害時に高齢者を守るといっても、自分の命をかけてまで無理してはいけません。
自分では無理だと思ったら、速やかに警察や消防署へ連絡して下さい。
家族や他人の命と引き換えに助かって、喜ぶ高齢者は誰一人いませんから、
まずは、自分の安全を確保した上で、高齢者を守ってあげて下さい。
いざという時に慌てないように、防災グッズを完備しておく事も大事です。